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Jリーグ 5年前

名波ジュビロ、J1残留のヒーローとなった小川航基。仲間たちが唸る、“持ってる”男の真骨頂

text by 青木務 photo by Getty Images

仲間たちの小川評は?

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上原力也、荒木大吾、大南拓磨が語る小川航基とは?【写真:Getty Images】

 多くの報道陣でごった返すミックスゾーンで、小川航と年齢の近い3人を捕まえた。1歳上の上原力也は、今季リーグ戦で28試合に出場したボランチ。この日はポイントとなった中盤の争いでボールを刈り取るなど、チームを支えていた。

「先制点はいつも大事ですけど、今日に関してはものすごく重要だった。その中でやっぱり持ってる人が決めると、チームもさらに身が引き締まるというか。いい人が取ってくれたなと思います。堅碁くんが怪我をして、航基もこのチャンスを活かしたいと思っていたはずだし、うまく試合に入っていた。それに僕や(大南)拓磨、航基という若手を大事なゲームで使ってくれた名波さんへの感謝を、この試合で表さないといけないと思っていたので。その中で航基が点を決めてくれたのは、僕もすごく嬉しかったです」

 24歳の荒木大吾は、青山学院大学から入団して3年目。今季の中盤以降はジョーカーとして指揮官の選択肢に入った。1年目は自身の運転する車の助手席に小川航を座らせ、寮と練習場を往復した。そんな可愛い弟分をについてこう評している。

「フロンターレ戦でああいうことがあって、チームは今まで以上にピリピリしていた。ベンチからもすごく声を出して、何かが劇的に変わったとかじゃなく、とにかく気持ちが入っていましたね。PKは航基が自分で取ったものだし、やっぱり持ってるなと。多分すごく緊張していたと思うけど、気持ちが強い選手だし、決めてくれるなと思っていました。ああやってスタメンで出て結果を残すのは凄い」

 鹿児島実業高校出身の大南は、小川航と同じ2016年に高卒で入団した。ピッチ内だけでなく、クラブハウス、寮と最も多くの時間を共有してきた間柄だろう。この日、自身が起点となった攻撃から獲得したPKを親友が決めた。

「めっちゃ嬉しかったです」と振り返るディフェンダーを、スタッフが呼びに来た。チームバスがスタジアムを出るためだった。あと少し、とスタッフに待ってもらい試合前の小川航の様子を聞いた。

「風呂場で話している時、『俺ちょっと点決める気がするんだよな』と言っていたんです。だからPKを決めた瞬間は、本当に持ってるなと思いましたよ」

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