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日本代表 5年前

アジアカップで証明された実力格差の縮小。日本代表が勝ち続けるために必要なこと

text by 舩木渉 photo by Getty Images

大陸全体の成長は明らか。気の抜けない戦いに

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日本代表が勝ち続けるために…【写真:Getty Images】

 もし日本代表がこれまで通り2列目の3人を中心とした細かいコンビネーションを軸にした攻撃を繰り出すとして、それがうまくいかなかった時にトルクメニスタン戦の後半のようなシンプルな戦いにいち早く切り替えられるかも注目すべきだろう。試合の中で流れを感じながら、状況に応じてチーム全体で意思統一を図って柔軟に戦い方を変えていくというのは、アジアカップを勝ち抜いていくうえで磨いていくべき要素の1つに違いない。

 グループリーグ初戦ではヨルダン代表がオーストラリア代表を破り、インド代表がタイ代表に大勝するなど「番狂わせ」が目立った。グループリーグが2戦目に入って、初戦を落とした強豪がしっかりと軌道修正して順当に勝ち点を奪えるようになってきたにもかかわらず、ピッチ上で繰り広げられるサッカーの実力格差はそれほど大きくないと感じる。

 やはり現実的に優勝を狙えるチームはコンディション面でも戦術面でもピークを決勝トーナメントに入ってからの戦いの中に設定しているため、どうしても大会序盤は苦しい戦いを強いられる傾向がある。だが、グループリーグ2戦目に入っても、イラン代表を除いて、楽に勝っているようなチームはない。

 UAE代表を率いるアルベルト・ザッケローニ監督は「アジア全体のレベルは着実に上がっている」と述べていたが、まさにその通り。出場国数が「16」から「24」に増えて、大会全体のレベル低下が危惧されていながら、蓋を開けてみれば全くそんなことはなかった。

 むしろ「準備」のレベルが上がったことで、いわゆる“弱小国”でも、大国と対等かそれ以上に渡り合えるところをピッチ上で証明している。トルクメニスタン代表もオマーン代表もFIFAランキングで見れば格下になるが、実際に日本代表ともそれほど大きな差はないだろう。だからこそ一層気を引き締めて、目の前の一戦一戦に集中しなければならない。

 優勝候補に挙げられるイラン代表や韓国代表、オーストラリア代表をはじめ、第2グループに属す中国代表やタイ代表も徐々に調子を上げている。日本もまずは2連勝で決勝トーナメント進出を確実にし、優勝に向かって余裕を持って調整できる状況を作り出したい。そのためにもオマーン戦はできるだけリスクを冒さず、手堅い戦いで力の差を見せつけて勝利を掴みたいところだ。

(取材・文:舩木渉【UAE】)

【了】

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