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日本代表 5年前

日本代表、イラン戦勝利の鍵は“塩試合”? アジアカップ準決勝、試されるチームとしての総合力

text by 舩木渉 photo by Shinya Tanaka

日本代表は「守備的」!?

 そして28日には、準決勝の日本代表戦を迎える。森保一監督が率いるチームは、このイランに対してどうやって勝ち筋を見つけていくのか。指揮官は「まずはしっかり球際でバトルするところ、相手のプレスを回避できるように、攻撃でボールを握れるようにチャレンジしていければ」と語っていたが、どんな展開になっても常に危険に晒され続けるのは間違いない。

 もし日本がボール支配率を高めて主導権を握っているように見える展開になったとしても、イランは一発のカウンターで状況をひっくり返すだけの力を持っているし、逆にボールを渡してしまえば一方的に殴られるサンドバック状態になってもおかしくない。

 GK権田修一は「(準々決勝の)中国との試合を見ても、オーストラリアとUAEの試合を見ても、ディフェンスの選手の処理のミスで(失点する)というのは、最近目につく。逆にああいうのがうちじゃない試合で出てくれている分、みんなで『細心の注意を払っていこう』という話は逆にできている」と語り、やはり取り返しのつかない事態を招きかねない重大なミスを警戒していた。

 日本代表にとっては自分たちである程度ボールを握りながら極力リスクを避けつつ、終盤の1点勝負に持ち込む展開が理想的だろうか。とはいってもイランは常に危険な存在であり続けるが、今大会これまで森保ジャパンが見せてきた、いわゆる“塩試合”が最も勝利の可能性が高い戦い方になるような気もしている。

 27日の記者会見では、海外の記者から現在の日本代表をEURO2004で下馬評を覆して優勝したギリシャ代表に例える質問が出た。5試合全てが1点差で、ここ2試合は1-0が連続していることもあって、それが「守備的」と捉えられているようだ。

 確かに他の海外の記者からも「今の日本代表はなぜこれまでと違い『守備的』なのか?」と尋ねられたことが何度かあった。ただ、当時のギリシャ代表はタレント力で他国に劣る分、極端に守備的な戦いで「ゴールを守ること」に重きを置いたチームで、決して「守ること」に特化していない日本代表とはアプローチが違う。

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