大迫対策と噛み合わせの悪さの利用
カタールが守備面で主に取り組んだのは「大迫勇也対策」だ。日本の攻撃の軸はFW大迫で、彼がボールをおさめることで活性化する。まずはそれをさせない。大迫の周囲に守備人数を増やし、大迫にボールを受けさせない。そうなると、日本は相手守備が手薄になったサイドから仕掛ける。ここまで想定内で、「仮想日本」がサイドから崩そうとするとコーチ陣が細かくポジショニングを指示し、守備陣形を整えていた。
実際の試合でも特に前半は大迫にボールが入る場面は少なかった。一旦おさまればチャンスになったが、そうならないとサイドから攻めざるを得なくなる。日本の方が個の力は上なので、それで打開するしかなくなる。個人能力で突破されれば仕方がないとカタールは考えていたが、そこまでの実力差はなかった。
攻撃面ではフォーメーションのギャップを利用することだ。カタールが3バックにすることでフォーメーションの噛み合わせが悪くなり、浮いている(誰もマークについていないフリーに見える)選手が出てくる。この浮いている選手にいかにボールを入れるか、そして浮いた状態をいかに保つか。コーチ陣の身振り手振りから察するに、恐らくそこを指示していたのだろう。
試合ではどうだったか。カタールは11番アクラム・アフィフがキーマンになっていた。彼が日本のボランチの背後をとることで、フリーでボールを受け、日本を撹乱していた。
戦術面ではカタールのシミュレーション通りに試合が進んでいたことになる。たった30分で日本は完全攻略されてしまった。
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