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日本代表 5年前

たった30分の準備で完全攻略。カタールが仕掛けた「日本代表対策」の全ぼう

text by 植田路生 photo by Getty Images

個の力で上の日本がカタールを上回れなかった要因

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日本はアジアでも挑戦者の立場となった【写真:Getty Images】

 カタールは見事だったが、ここまでが限界だったはずだ。セットプレーの練習はまったくしておらず、日本が想定外のプレーをしてくれば対応できなかっただろう。

 日本がカタールを上回れなかった要因としては主に2つある。1つは修正力がなかったこと。森保一監督は「守備はミスマッチが起きても最後どうやって止めるか。特に2点目。6番が左足(のシュート)をもっていることはスカウティングできていた」と試合後に語っている。

 ミスマッチ、いわゆるギャップが生まれたとき、ハーフタイムになる前に選手たちで修正できればまた違った展開になっていたはずだ。吉田麻也は「ボランチの脇で11番を誰が掴むのか。19番とうまく入れ替わりながら、誰が掴むのかで1点目も2点目も1回そこを起点にされて失点している。そこでの臨機応変さが足りなかった」と語っていることから、何が原因なのかは把握している。やはり足りないのは修正力だ。

 2つ目は、「対策への対策」が何もなかったこと。カタールが日本対策をしてくることは想定内だったはずだ。見事な攻略ではあるが、何も特殊なことはしていない。にもかかわらず、自分たちの得意な形に固執し、相手の嫌がるプレーがほとんどなかった。サウジアラビア戦のようにドン引きするわけでもなく、攻撃パターンに変化はなく跳ね返され続けた。

 日本はロシアワールドカップでアジア最高の成績を残し、一目置かれる存在だった。だが、名実ともに王者ではなくなった。アジアでも挑戦者として研鑽していかなければならない。アジアカップで露見した修正力のなさは日本サッカーにおける積年の課題と言える。ここの解消なくしてレベルアップは望めない。少なくとも、2段飛ばしで日本を追い越していったカタールに当分追いつけないだろう。

(取材・文:植田路生【UAE】)

【了】

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