日本対策ができたのはわずか30分
まさにこれこそ完敗と言うべき内容だった。
日本代表はカタール代表の術中にはまり、AFCアジアカップ2019の優勝を逃した。後半は押し込む時間帯もあったものの崩しきれず、一方で前半はほぼ何もできなかった。日本はなぜ敗れたのか。時計の針を少し戻したい。
現地時間29日、カタールはUAEと準決勝を戦っていた。4-0と快勝し、日本が待つ決勝へと駒を進めた。30日、カタールは完全オフ。決勝戦は1日なので、カタールに残された準備期間は31日、その1日しかなかった。
現地時間31日、カタールは90分間練習した。ウォームアップ、ランニング、ダッシュ、ボール回し、シュート練習。これだけで60分近くが経過した。残された時間はたった30分。ようやくゲーム形式の練習で森保ジャパン対策が始まった。
チームを主力組と控え組に分ける。控え組は日本代表の動きを完全トレース。この「仮想日本」に主力組が挑むという構図だ。普通のゲームと違うのは何人ものコーチがピッチ内に入り、すぐにプレーを止める。その都度ポジショニングの指示を出していた。
カタールは4バックと3バックの2つのフォーメーションを使いこなすチームだが、この日、主力組は3バックでしかプレーしていない。つまり、事前のスカウティングで「日本代表には3バックが有効」との分析が済んでいたということだ。
わずか30分。だが、その成果は前半如実にあらわれる。
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