「適当にプレーをしたらこうなるんだ」
それからも、ユーベの守備はことごとく軽かった。当たりに弱く、ボール処理の集中力も散漫。そんな体たらくの内容を続けていた末に、ATでついに3失点目。相手CKの流れからコーナースポットの守備に入ったマンジュキッチが、敵がまだ前線に残っているにも関わらず不用意に内側へ横パスを出す。
これを掻っ攫われると、パルマのCFロベルト・イングレーゼがフリーになっていた。これを中央へ折り返し、最後はまたもジェルビーニョ。自陣ゴール前でこんなにも相手がノープレッシャーになっているのは、ユーベには珍しい失態だった。
試合後、マッシミリアーノ・アッレグリ監督は地元メディアに対し「守備が軽かった。適当にプレーをしたらこうなるんだ」と呆れて語った。前線や終盤の守備に集中力が欠けると、ユーベのDFラインでも苦境に陥る。
ましてや、最後にゴール前で体を寄せたり足を出したりしてくれるキエッリーニらの不在で、余計にごまかしはきかなくなっていたということだ。チャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントで対決するアトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督は、この状態のユーベを果たしてどう見るだろうか。
最後に、勝負を諦めなかったパルマのパフォーマンスにも触れておきたい。11人でしっかり守備をし、カウンターで勝負をするという彼らは、苦境にも関わらず自信を持ってやるべきことを貫徹した。前線も自信を持ってチャレンジしていた。
カウンターの武器となるのは爆発的なスピードを誇るジェルビーニョだけではない。タイミングよくスペースに飛び出す中盤に、相手DFと競りながら地道にターゲットとしての仕事をこなすイングレーゼ。こういった存在が自信を持ってプレーし、集中力の散漫なユーベを突いた。
「決して信じることをやめてはいけない。姿勢が重要だった。簡単ではなかったが、我われは(焦らずに)明晰でもあった」。試合後のロベルト・ダヴェルサ監督の弁は、なんとも心に刺さる。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
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