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日本代表 5年前

日本代表のチーム作りは正しく進んでいるのか?「点」が「線」へとつながらず、人選に疑問も【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Shinya Tanaka

ゼロトップは条件がない

 4-4-2のミドルプレスはチームとして継続してきた。前半に関しては機能していて、途中からコロンビアは攻め込めなくなっていた。しかし、そこからハイプレスへの移行には失敗も多く、食いついては簡単にひっくり返されて決定機につなげられている。後半は、「インテンシティをキープできなかった」(森保一監督)

 前半はトップ下だったハメス・ロドリゲスが右へ回り、ハメスのキープからSBを上げる攻撃をされると、中島の守備力の甘さをつかれた。さらにコロンビアが前線からプレスすると日本はボールをつなげず、ロングボールを前線で収めることもできず。後半開始から20分間は完全にペースを握られている。

 リスクを負っても低いところからつないでいくには、GKとSBの人選に疑問がある。ロングボールで前線に起点を作りたいとしたら、それ用のFWを選んでいないのも不思議だ。引き込んで耐えるなら中島を諦めるか、補強する仕組みをチームとして用意しなければならないがそれもない。どこもつながっていない。

 香川を投入してから攻撃の起点ができて盛り返した。1トップが決まらないなら、いっそ香川の「ゼロトップ」もありかもしれない。鎌田や南野もゼロトップのほうがフィットする。ゼロトップなら両サイドのアタッカーを高い位置に送り込むことになるので、堂安と中島を高く置いてMFを3人構成にすれば、中島の守備の問題も解消されるしカウンター対策にもなる。

 だが、コロンビア戦苦戦の原因がビルドアップとインテンシティ不足なのだから、それでは押し込みとハイプレスが条件になるゼロトップは到底機能しない。ここでも線は切れてしまう。

 フレンドリーマッチで全体像がみえないのは仕方がないところはある。点と点をどう結んでいくかはコパ・アメリカへ向けての課題だ。

(取材・文:西部謙司)

【了】

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