マリノスGKパク・イルギュが開いた夢の扉。地域Lも経験した29歳の挑戦、不断の努力が実ったJ1初舞台

今季、横浜F・マリノスに加入したGK朴一圭(パク・イルギュ)は異色のキャリアの持ち主だ。昨季までFC琉球に在籍しJ3優勝&J2昇格に貢献したが、それ以前には地域リーグでのプレーも経験している。29歳で初めてJ1の舞台に立った叩き上げ守護神が歩んできた道のりは、日本サッカー界にとってどんな意味を持つのだろうか。(取材・文:舩木渉)

2019年04月03日(Wed)10時20分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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「ミス」から始まったマリノスでのキャリア

パク・イルギュ
パク・イルギュは横浜F・マリノスの守護神としてサガン鳥栖戦に先発出場した【写真:Getty Images】

「準備はできているか? 明日はお前でいくから」

 信頼を表すにはこの二言だけで十分だった。横浜F・マリノスのGK朴一圭(パク・イルギュ)は、アンジェ・ポステコグルー監督からゴールマウスを託され、初めてJ1リーグ戦のピッチに立った。2019年3月29日のJ1第5節・サガン鳥栖戦で、その時は突然に訪れた。

 今季新加入の朴は、昨年までJ3でプレーしていた選手だ。3シーズン在籍したFC琉球でJ3優勝とJ2昇格を成し遂げ、ステップアップ移籍を果たす。本人が「夢だった」と語るJ1への挑戦。オファーを受け取った時は鳥肌が立ったというが、横浜行きの決断に迷いはなかった。

 マリノスには2年にわたって正守護神の座を守り続けてきた飯倉大樹という不動の存在がいる。朴も背番号1を任されてはいるものの、その牙城を崩すのは簡単ではなく、新天地での公式戦初出場は3月6日に行われたYBCルヴァンカップのグループリーグ初戦・北海道コンサドーレ札幌戦だった。

 だが、そこで朴は失点に直接絡む「ミス」を犯している。後半開始早々の49分、キャッチしたボールを素早く左サイドに展開しようと蹴ったが、そのパスは遠藤渓太に届く手前で失速して相手選手にカットされる。そこから味方の守備体勢が整わないままカウンターを受け、最後は元イングランド代表FWジェイにゴールネットを揺らされた。

「ちょっと独りよがりな、いち早くサポーターの皆さんに自分のプレースタイルをわかって欲しくて、急いでプレーしてしまって、もったいない失点をしてしまった。チームスポーツで、特に後ろで守っているGKなので、ミスをしてしまうとああやって簡単に失点してしまって、試合を難しくしてしまう。そういうところはすごく勉強になりましたし、J3とJ1の差かなとすごく感じました。J3ならあそこで奪われても、なかなか失点までつながることはない。でもJ1だとあそこを仕留めてくる力があるのを、再確認させてもらいました」

 冷静に周りを見て正しい状況判断ができなかった。試合の雰囲気にも慣れて、こう着状態の中で自分からアクションを起こしていこうとした最初のプレーが、失点につながってしまった。試合は1-1のドローに持ち込めたが、朴は自分が絡んだ失点のことをしきりに悔やんでいた。

 そして次に与えられたチャンス、ルヴァンカップのグループリーグ第2節・湘南ベルマーレ戦は2失点して0-2で敗れた。彼は「自分にとって勉強になったゲーム」だと述懐する。激しくプレッシャーをかけてくる相手に、安パイなプレーで終わらず、どうやって自分の持ち味を出しながらマリノスらしいサッカーを体現していくかという課題を突きつけられた一戦だった。

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