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韓国が生んだ世界級、ソン・フンミンがマンCを撃退。勝負を分けた数分、値千金弾の布石とは?

text by 青木務 photo by Getty Images

ソン・フンミンはフィニッシュパターンを確立している

 そして78分、値千金の一発がトッテナム・ホットスパー・スタジアムを沸騰させる。

 ルーズボールをルーカス・モウラが拾い、デレ・アリからエリクセンに渡る。背番号23は体の向きを変えると、右サイドから走り出したソン・フンミンへ浮き球のパスを送る。韓国代表FWはPA内で受けるもファーストタッチが流れてしまう。それでも諦めずにラインを割りそうなところでボールを残し、カットインで角度を作ると左足を振り抜く。ボールはGKの脇をすり抜けてネットを揺らした。

 直前に足を痛めていたソン・フンミンだが、治療を終えピッチに戻るとそのファーストプレーで大仕事をやってのけた。待ち望んだ新スタジアムは、ソン・フンミンにとって相性が良さそうだ。今月3日に行われたクリスタル・パレス戦、こけら落としとなったこの一戦で記念すべき第1号を決めたのが彼だった。

 大車輪の働きでチームに1stレグ勝利をもたらしたソン・フンミン。両チーム最多となる4本のシュートを放つなど、果敢な姿勢がうかがえた。相手の脅威となったのはケインでもなく、PKを外して意気消沈したシティFWアグエロでもなく、トッテナムの背番号7だったのだ。

 そしてこの日のゴールもそうだが、ソン・フンミンは中に持ち込んで左足、というフィニッシュパターンが確立している。得点の奪い方を知っている選手だ。ただ得意なだけなら誰にでもパターンはあるだろうが、世界トップレベルの舞台で発揮できることに意味がある。

 早い時間で左からポジションを変えたからこそ生まれた得点だとも言える。さらにこのポジションチェンジでエリクセンも生き、他の選手たちも躍動。シティの脅威を封じ、自分たちのやりたいことが発揮できた。

 もちろん、2ndレグでも思い通りのサッカーができることはないだろう。しかし、トッテナムが大きな自信を得たのは確かだ。

(文:青木務)

【了】

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