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Jリーグ 5年前

大分FW藤本憲明、その得点力の真髄。ゴールゲッター出世の3要素、確信に満ちた8割の無駄【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

フリーになるタイミングで来るボール

 藤本はあるインタビューで「理想のゴールはPK」と答えていた。理由は簡単に得点できるからで、「形はどうでもよくて、得点できればそれでいい」というのは、いかにもストライカーらしい。

 得点力はプレーするカテゴリーや対戦相手にそれほど影響を受けない。逆に、まともに影響を受けているようでは、そんなに点は取れない。瞬間的にせよ、シュートするときにはフリーになっていなければ点は取れず、フリーになる仕組みは相手の力量や試合のレベルの高低とそれほど関係がないからだ。

 また、ミドルシュートで年間20ゴールする人もまずいない。つまり、得点王を獲るぐらいゴールを量産するには、ペナルティーエリア内でフリーになる能力が必要になる。ただ、それ自体はそんなに難しくない。ある意味、どんなFWでもやっていることかもしれない。

 例えば、サイドからクロスボールが入ってくるとき、DFの背後から動けばフリーになれる。相手の背中には目がついていないからだ。相手が視界に収めようと動いたら、その動きの逆をつけばいい。

 問題はフリーになった瞬間にボールが来ているかどうか、来たボールをゴールに入れられるかどうか。とくにフリーになれる瞬間とボールが来る瞬間を一致させなければならない。藤本は不思議なぐらいマークを外してボールを受けている。まるで最初からそこに来るとわかっていたように、ちょうどのタイミングでマークを外して確実に決めてしまう。

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