99年、名波浩。日本最高のMFはなぜ失敗に終わったのか? “ゴミクズ”とまで揶揄された苦悩【セリエA日本人選手の記憶(3)】

2019年04月23日(Tue)10時18分配信

シリーズ:セリエA日本人選手の記憶
text by 神尾光臣 photo Getty Images
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変更を余儀なくされたプレースタイル

 そして当時、ザンパリーニに全権を委ねられてチーム運営をしていたのはジュセッペ・マロッタ。のちにユベントスを現在の強豪へと育てることになる敏腕マネージャーは、経営の堅実さと選手の目利きの確かさで評価を築いていた最中だった。最初の1年は買い取りオプション付きのレンタルとし、選手にはステップアップの場としてもらうという戦略も巧みだった。

 さらに監督に招聘していたのは、あのルチアーノ・スパレッティ。のちにウディネーゼやローマ、ゼニト・サンクトペテルブルクで国際的な名声を築く知将は、独特の戦術理論を持つ攻撃サッカーの使い手としてサッカー関係者に注目されていた。きちんとした戦略のもとで、ペルージャのナカタの祖国で同等かそれ以上の評価さえ得ていたMFが呼ばれるとあり、期待感はそれなりに高かったのである。

 そして開幕戦のウディネーゼ戦、59分に交代出場。72分にクロスからフィリッポ・マニエロの同点ゴールを導き出し、さらにフリーキックからワンフェイクいれてクロスバーを直撃するシュートを放つなど、なかなかの存在感を放っていた。

 ただそこから、右肩上がりで活躍するというわけにはいかなかった。次の試合はベンチ、第3節のローマ戦では先発出場するが途中交代を余儀なくされた。ピッチでは、磐田や日本代表でのプレーとは違う現実が待っていたのだ。

 それはボールホルダーに対する寄せの早さ。ボールを保持すると、息つく暇もなくプレスで囲まれパスコースが消されてしまう。相手がそこからのカウンターを狙ってくるため、中盤で多くボールに触る選手は狙い撃ちにされやすかった。

 スパレッティ監督も、それを意識して注文を出していた。「技術は高いが、周りとの歩調にもう少し合わせてほしい。とりわけ攻撃においてはパス回しよりも、縦への攻撃をもっと意識してほしい」指揮官の戦術コンセプトは、縦への速い攻撃を意識するショートカウンター。中盤でボールを奪ってからは手数を掛けず、縦へと走るFWやウィングにボールを当てることを意識するものだ。

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