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豊川雄太は「日本にない1トップ像」を追求する。目指すはスアレス、ベルギーで得た信頼と自信

text by 舩木渉 photo by Getty Images

勝負強さは健在。監督からの信頼も

豊川雄太
豊川雄太(右)とクロード・マケレレ監督(左)の間には確かな信頼関係がある【写真:Getty Images】

 とはいえ重要な場面でゴールを決める勝負強さは今季も健在だった。2月16日に行われたベルギ−1部のレギュラーシーズン第26節のオーステンデ戦、終盤の78分に貴重な同点弾をたたき込み1-1のドローに。オイペンはこの勝ち点1を積み上げたことで最下位転落の可能性が消え、同時に来季の1部残留も確定した。

 昨季のセンセーショナルなハットトリックも記憶に残っているのではないか。レギュラーシーズン最終節で、ベルギー移籍後初ゴールを含む3得点1アシストを記録し、降格の危機に瀕していたオイペンの救世主となった。

 オーステンデ戦もシュート1本で1ゴール。2016/17シーズンからクラブ史上2度目の1部リーグを戦うオイペンは、やはりトップリーグでは毎年残留争いを強いられる立場にある。実際、豊川は現時点で7得点だが、それでも3本のPKを含む8得点を挙げているルイス・ガルシアに次いでチーム2番目の得点源だ。やはり必然的にシュートチャンスが少ない中で結果を出すことが求められてくる。

「シュートを打つことですね。シュートはやっぱり自信があるので、その回数を増やす。3本打ったら1点取れる自信があるので、そうやってシュートを打つまでに持っていく形とかも作っていかないと、1トップじゃ難しい。2列目だとJリーグでやっていたように、大きな選手がいて、こぼれてきたのをパンって打ってみたいなのがありましたけど、それは一番前に僕がいるので、いろいろなことをしていかないといけないと思っているし」

 マケレレ監督も豊川の自信と実力を認めている。オーステンデとの大一番の後、この日本人アタッカーが欠場して敗れた27節のズルテ・ワレヘム戦で、「彼ら(DFシェイク・ケイタと豊川)がいないと別のチームだ。小さなユウタはチームに大きなものをもたらしてくれる。(先発出場した)ダビド・ポレにあったチャンスを彼なら決めていただろう」と影響力の大きさに言及した。

 Jリーグでの豊川は、小柄な体格で跳ぶようにピッチを駆け、俊敏性とテクニックでフィニッシュの手前でチャンスメイクに関わる印象の強いアタッカーだった。どちらかといえば身軽な選手のイメージは、屈強なDFの揃うベルギーでガラリと変わった。

 ボールを失えば猛然とプレスバックして相手選手にプレッシャーをかけて追い回す。味方がボールを持っていれば、相手のセンターバックと常に駆け引きをして抜け出すスペースを探す。以前よりもプレーに力強さや迫力があって、こころなしか存在が大きく見えるのである。

 豊川も1トップでの自らの進化をひしひしと感じているようだった。

「僕は好きですね、あの位置。理想は本当にいいパサーといいクロッサーがいて、クロスの中の駆け引きでチョンと合わせるのがベストですけど、それはなかなか今の状況じゃできていない。その駆け引きとかも、(ボールが)来なくても続けていることが大事だと思いますし、マケレレ監督とかからもアドバイスをもらって楽しくやれています」

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