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Jリーグ 5年前

【英国人の視点】カマタマーレ讃岐、J3降格で生まれた「チャンス」。クラブに流れるポジティブな雰囲気

毎年J2で残留争いを強いられてきたカマタマーレ讃岐は昨季、22位となりJ3に降格。しかし、初めてJ3の舞台で戦う今シーズンは、好調なスタートを切っている。クラブにとって降格は、すべてがネガティブなことではないという事実を、讃岐は示しているのかもしれない。(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

開幕ダッシュに成功

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カマタマーレ讃岐【写真:Getty Images】

 藤枝MYFCが攻撃の手を強める中、最後の一撃として藤枝・谷口堅三がCKにヘディングで合わせてゴールを狙う。

 ゴール前に落ちたボールにカマタマーレ讃岐の守備陣の誰よりも早く藤枝・岩渕良太が反応し、ゴールライン上を守る池谷友喜の背後のネットへとボールを押し込んだ。

 過去5年間、J2の下位で苦しみ続けた讃岐のサポーターにとって、試合終盤の失点は、残念ながらあまりにも見慣れた光景だ。今回もまた終了間際にやられてしまった。

 だが、今年は少々事情が異なる。5月5日に行われたこの試合では、すでに2-0でリードしていた讃岐の試合結果に影響する失点とはならなかった。この勝利により藤枝を上回ったチームは、一時的ではあったがJ3の首位に浮上した。

 この試合の1時間後に行われた試合で、ギラヴァンツ北九州がザスパクサツ群馬を相手に勝利を収めたことで、讃岐は得失点差で2位へと後退した。それでも今季から上村健一監督が率いる讃岐は、5年間のJ2下位生活を経てついに降格したJ3リーグで、開幕から8試合で勝ち点17を獲得。好発進を切ることに成功している。

 讃岐はJ2で過ごした5シーズンで、最高でも16位でしかシーズンを終えることができなかった。最後の2年間ではわずか15勝しか挙げられず、45試合に敗れる結果となった。

 もちろん降格することを望んでいるチームなどいないが、全くの無意味だと言われるのも正しいわけではない。例年通り降格を回避するための勝ち点をもぎ取っていくのではなく、勝利を重ねて上を目指していく戦いを、ファンも選手たちも満喫していることだろう。

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