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Jリーグ 5年前

【英国人の視点】カマタマーレ讃岐、J3降格で生まれた「チャンス」。クラブに流れるポジティブな雰囲気

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

降格は「リセットの機会」

 降格を通して、クラブにとって是非とも必要だったリセットの機会が訪れる場合もある。ネガティブな面にばかり目を向けるのではなく、誰もが気分を一新し、基本に立ち返って楽しむことができる。

 日曜日の試合でスタジアムを訪れていたファンも、友人たちや家族と連れ立って地元チームを応援しつつ、スタジアムの光景や音を味わい、一体感を味わうために集まっていた。この日は子どもたちが動物とふれあえる「ピカスタどうぶつ園!」も準備されていた。

 そういった楽しみは、おそらくどんなレベルのクラブにも共通するものではあるが、目標が高く大きくなるにつれて忘れられてしまうように感じられる場合もある。優先すべきものを見失い、クラブは根幹として、地域の代表として人々に帰属意識と誇りを与えるため存在しているということを忘れてしまう者もいる。

 カテゴリーを下げることが、チームの若返りのチャンスに繋がることもある。

 藤枝戦では讃岐の先発メンバーのうち5人が23歳以下であり、19歳の選手2人がベンチに入っていた。

 もちろんそれを補うように、37歳のGK清水健太や35歳のCB竹内も先発し、ベンチには木島良輔と我那覇和樹の合計77歳コンビも控えていた。この日のスタジアム外で触れ合うことができた仔犬たちのような未熟な存在ではなく、経験を重ねてきた選手たちだ。

 そして、チームの戦いぶりも素晴らしいものだった。意図を持ってピッチ上でボールを動かし、恐れることなく最終ラインから組み立てていこうとしていた。一方で、開幕から7試合で5得点と好調にシーズンをスタートさせていた藤枝の森島康仁に対する十分な警戒も怠ることはなかった。

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