「豪州戦」。万雷の拍手で迎えられたハリル。欧州の背中が見えるも消し去られた一戦【日本代表平成の激闘史(1)】

時代は平成から令和へ。時代は変われども、後世へと語り継ぎたい平成に起きた名勝負を、各ライターに振り返ってもらう本企画。今回は平成29(2017)年8月31日に行われたロシアワールドカップアジア最終予選、オーストラリア代表対日本代表の一戦を回顧する。(文:植田路生)

2019年05月13日(Mon)10時00分配信

シリーズ:日本代表平成の激闘史
text by 植田路生 photo Getty Images
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会心の勝利だった豪州戦

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日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 記者会見場に日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が入ってきたとき、報道陣は万雷の拍手で出迎えた。ロシアワールドカップ出場を決めたこと、またその一戦で見せた完璧に近い試合内容への率直な感想だった。

 平成29(2017)年8月31日のロシアワールドカップアジア最終予選。オーストラリアと対戦した日本代表は2-0で勝利し、ロシア行きを決めた。これまでワールドカップアジア予選で勝利したことのなかったオーストラリアに完勝したことは特筆すべきことだ。

 だが、ハリルジャパンを取り巻く環境は順風満帆とは言い難かった。

 それまでハリルホジッチ監督には内外から批判が噴出する状況にあった。一部の選手たちは起用法や戦術への不満を協会関係者や報道陣に漏らし、それは間接的に本人に伝わった。

 また、ハリルジャパンは最終予選をグループ1位で突破したのにもかかわらず、メディアによる「解任論」は指揮官が実際に解任されるまで色濃く残った。欧州基準の高いレベルでの戦術は理解されにくく、もどかしさと言えば聞こえはいい方で、「こんなこともわからないのか」という諦めすら感じられた。

 さらに追い打ちをかけるような事態も起きる。ワールドカップ出場のかかった大一番を前にスタメンが漏洩。意外とも言えるメンバーは、指揮官が練りに練ったオーストラリア対策のための人選。これまでもスタメンはダダ漏れ状態ではあったが、この試合まで漏れたとあっては、流石に同情したくなる。

 会心のオーストラリア戦後、一度は記者会見場に顔を見せたハリルホジッチ監督だったが、「家族の問題」を理由に質疑応答を拒んだ。振り返れば、指揮官への厳しい状況もそうさせたのではないかと思う。

【次ページ】ハリルが出した答え

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