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久保建英と“同じで違う”センス。U-20日本代表のキーマン、斉藤光毅が欲するものとは?【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

目に見える結果

 三浦知良を初めて日本代表に招集した横山謙三監督は、「最初はそんなに凄い選手だとは思わなかった」と、後に話していた。ただ、すぐにある非凡さに気づいたという。

「足も速くなかったですよ。シュートしてもDFにブロックされていた。ただ、2本目もブロックされても3本目で決めてしまう。そのときも相手の足に当てていたり、足の間を抜けていったりなんだけど」

 2本続けてブロックされると、3回目は違うことをやりたくなるものだ。ところが、カズは同じようなシュートで強引にでもねじ込んでしまう。これはもう技術の問題よりメンタルの力で、ある種のゴールセンスである。

 斉藤はプロデビュー戦(2018年J2第24節・FC岐阜戦)でクラブ最年少記録を作ったが、そのときに35歳上のカズと同じフィールドに立っている。横浜FCにはルマン(フランス)をはじめヨーロッパで活躍した松井大輔もいる。松井は「ヨーロッパでのし上がっていくには、わかりやすい結果が必要」と話していた。

 松井が移籍した当時のルマンは2部だった。フランスの2部といえば、強烈なフィジカルコンタクトが続く試合である。技術はない、というより技術を発揮するような試合にならない。選手の目標は「プレミアリーグ」だったそうだ。2部から1部へ、さらにイングランドへ移籍したい、そのために必要なのが「目に見える結果」だという。

 アタッカーは独力で得点すること。ぬかるんだフィールド、蹴り合いの展開の中で、パスワークの終点としてのフィニッシュはまず期待できない。どんなにプル・アウェイでマークを外しても、味方はそんなものなど見てくれていない。

 1人で突破して決めるか、クロスボールを叩き込むか。上手いFW、守備でも貢献してくれるアタッカーは、チームにとって有り難いかもしれないが、のし上がっていきたい選手がほしいのは内部評価ではなく、誰が見てもわかるゴールやアシスト=目に見える結果なのだ。

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