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日本代表 5年前

キャプテン・宮本恒靖が語った本音。最強世代で惨敗、ドイツW杯の真相【日本代表平成の激闘史(9)】

シリーズ:日本代表平成の激闘史 text by 元川悦子 photo by Getty Images

福西崇史の後悔

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この試合を最後に、現役を引退した中田英寿【写真:Getty Images】

 フレッシュな日本は前半34分に先制点を挙げる。稲本潤一が起点となり、三都主アレサンドロが送ったラストパスを受けたのが玉田だった。彼が得意な左45度の位置からシュートを突き刺し、前回大会の世界王者を震撼させた。

 これが「奇跡」の始まりになればよかったのだが、ブラジルはこの後、一気にギアを入れる。前半終了間際のロナウドの同点弾を皮切りに、ジュニーニョ・ペルナンブカーノ、ジウベルト・シウバ、ロナウドが立て続けにゴール。日本は1-4であっけなく沈んだ。

 試合後、中田英寿がピッチに倒れて動かなった。チーム全体でサポーターに挨拶に行こうしているのに、彼だけは動かない。「ヒデも一緒に挨拶した方がいい。起こして来いよ」と福西に言われた宮本が歩み寄ったが、彼は誘いを断り、仲間とともに行動することはなかった。

「代表での実績が足りないこともあって、ヒデに何か言う時はいつもツネに頼んでいた。そういう姿勢が間違っていたのかもしれない」と福西も悔やんだが、ジーコジャパンのラストは後味の悪いものになってしまった。

 中田と中村の重用など、ジーコのチームマネジメントへの違和感、ワールドカップ期間中の練習と報道のあり方の問題、ベースキャンプ地の選定ミス、サポートメンバー帯同不備など、ドイツ大会で露呈された課題は少なくなかった。

 その反省が後々に生かされ、その後のワールドカップの準備や戦い方、チームマネジメントへと生かされていったのは確かだろう。中田や中村、小野、稲本ら最高のタレントが揃ったチームだっただけに、日本サッカー界として悔やまれる部分が少なくないが、ドイツでの失敗が糧になったことだけは今一度、認識しなければいけない点だろう。

(文:元川悦子)

【了】

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