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日本代表 5年前

失われた日本代表の権威。コパ・アメリカメンバーに覚える違和感。協会に問うべき問題点とは?

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka

海外クラブとの交渉力は不可欠

 24日のメンバー発表会見で、日本サッカー協会の関塚隆技術委員長が「IMD以外の活動に対して、カレンダーを含めて今後はもっと長期的に調整をしていく必要がある」と苦渋の表情を浮かべたように、今回のコパに関してはJリーグとの日程調整がうまく行かなかったことが一番の問題点だろう。

 南米連盟の招待は昨年の段階から分かっていたのだから、6月のJリーグ日程を大きく空けてもらう努力をもっと払うべきだった。そのアプローチが不十分でコパとJの日程との重なり、各クラブが代表選手派遣に難色を示す事態に陥ったのは1つの事実だ。

 協会とJは同じJFAハウスに事務所を構えていて、意思疎通は容易にできる環境にある。その利点をもっと生かし、お互いが手を携えて日本サッカーのレベルアップを図れる関係性を構築しなければ、この先も同じような困難に直面する可能性は少なくない。

 協会は海外組所属クラブとも良好な関係を構築しているとは言い切れないところがある。コパに参戦する海外組オーバーエージは当初「7~8人」と言われていたのに、1~2月の2019年アジアカップに参戦しなかった昌子源や香川真司の招集もなく、最終的に5人しか呼ばなかった。

 遠藤航はケガがなければ参加していただろうから残念だが、それを抜きにしても、やはり海外クラブから理解を取り付ける交渉力は総じて足りなかったのではないか。

 これだけ主要選手が海外進出する時代になり、近未来には久保建英のような10代後半の若手もどんどん外へ出ていくだろう。となれば、欧州に協会の出先機関を設けて定期的にクラブ回りをするなど何らかの策を講じる必要がある。これを機にそういったアイディアも真剣に模索してほしいものである。

 IMDの縛りがないコパに最強メンバーを派遣できないのは百も承知だが、アルゼンチンのリオネル・メッシ、ブラジルのネイマールなど出場国が最高のスターをズラリと揃える真剣勝負の場だからこそ、日本のトップ選手の集団で挑んでほしかったのが本音だ。それは森保監督も代表選手たちも同じだったに違いない。

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