崩しまではフリーパス
3-4-2-1における崩しのキーマンは2シャドーだ。トップの大迫勇也に当ててシャドーへつなぐ。シャドーのキープからウイングバックのオーバーラップ、インナーラップ。ペナルティーエリアの脇への潜り込み、そしてシャドー自身のカットインなど、ハーフスペースにいるシャドーを経由することで、相手の出方の逆をついていく。
本来なら、いかにシャドーへボールを渡すかがテストの焦点になるのだが、トリニダード・トバゴの守備が薄く、堂安律と中島の2シャドーは難なくパスを受けられた。
ボールと逆サイドのシャドーには相手のサイドバックがマークしている。シャドーが少し中へ動けばサイドバックもついてくる。そこでサイドバックがタッチライン際に上がってきて幅を作る。
このとき、トリニダード・トバゴは日本のサイドバックをフリーにしていた。サイドチェンジがサイドバックに通り、シャドーが元の位置に戻るだけでフリーになれた。トリニダード・トバゴの4-3-3のウイングがあまり守備をしていなかったからだ。
「3トップを残して(日本の3バックに対して)1対1にしたかった」(デニス・ローレンス監督)
シャドーへボールを入れるまでの行程はフリーパス。サイドチェンジの3本に1本がミスになる精度の問題はあったが、それでもシャドーは簡単にボールを持てた。ところが、その利点を生かせたのは中島と長友佑都の左サイドだけだった。堂安はドリブル突破を抑えられ、酒井宏樹も1対1になったときには封じられていた。
【次ページ】機能しても薄かった効果