日本代表、川島永嗣と岡崎慎司が示した可能性。ウルグアイ戦で躍動、再認識すべきその存在感【コパ・アメリカ】

コパ・アメリカ2019(南米選手権)のグループリーグC組第2節、日本代表対ウルグアイ代表が現地時間20日に行われた。試合は若き日本代表が強豪相手に堂々と戦い、2-2のドローに持ち込んでいる。そして、この試合ではスタメンに名を連ねた岡崎慎司と川島永嗣のベテランコンビが大きく躍動。若い選手にも劣らない活躍を見せたと言ってもいい。コパ・アメリカを勝ち抜くためにも、今後も彼らの存在は大きなものとなる。(取材・文:元川悦子【ブラジル】)

2019年06月21日(Fri)17時35分配信

text by 元川悦子 photo Getty Images
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ウルグアイ戦で抜擢されたベテランコンビ

日本代表
ウルグアイ戦で先発出場を果たした岡崎慎司(左)と川島永嗣(右)【写真:Getty Images】

 開始早々のルイス・スアレスの意表を突くミドルシュートに始まり、わずかなスキを逃さないエディンソン・カバーニの前線での鋭い飛び出しと、序盤から日本を大いに苦しめたFIFAランキング8位のウルグアイ。この老獪な強豪に立ちはだかり、2-2のドローに持ち込む原動力となったのが、2018年ロシアワールドカップ以来の日本代表戦出場となった川島永嗣と岡崎慎司の30代プレーヤーたちだった。

 川島は前半13分にスアレスのヘッドを正面でキャッチしたのを皮切りに、決定機を次々とストップ。チーム全体に活力を与える。そして岡崎も最前線で確実にボールをキープし、タメを作り、時には自らの突破でゴールに迫るなど、イングランド・プレミアリーグ制覇経験者らしい力強さを見せつける。

「我々はトレーニングの段階から選手を見ていますが、彼らのパフォーマンスはデータ的にも主観的に素晴らしかった」と森保一監督も強調したが、2人の「ベテラン力」がコパ・アメリカ2019(南米選手権)を戦い抜くうえでどれだけ重要かを再認識するいい機会になったと言っていいだろう。

 17日のチリ戦を0-4で大敗し、いきなり後がなくなった日本。他グループの戦いを見ても、勝ち点4を取らなければ3位通過が難しい状況へと追い込まれてきた。

 森保ジャパンに残されたのは、20日のウルグアイ戦で勝ち点1以上を手にし、24日のグループ最終戦・エクアドル戦で勝利するというシナリオしかなかった。

 そこで、指揮官は現A代表の主力である柴崎岳と中島翔哉、冨安健洋らを連続先発させると同時に、川島・岡崎を満を持して抜擢。大一番のピッチに送り出した。

 川島はロシアW杯ラウンド16・ベルギー戦、岡崎は同・ポーランド戦以来の代表スタメン。しかも川島はその後の1年間公式戦出場から離れていて、ストラスブールで試合に出たのは5月24日のリーグ最終節・ナント戦1試合だけ。岡崎にしても今季リーグ戦21試合に出場しているが、先発は11月24日のブライトン戦から遠ざかっている。コンディションや試合勘の部分で多少なりとも不安はあった。

発揮された岡崎の真骨頂

岡崎慎司
岡崎慎司の持ち味は随所で発揮されていた【写真:Getty Images】

 だが、試合が始まってみると、彼らが放つオーラと存在感は予想をはるかに上回った。まず岡崎だが、三好康児、安部裕葵、中島という不慣れな2列目トリオの前に陣取ったが、息の合った連係からゴールに勢いよく迫っていく。柴崎のスルーパスに三好が反応し、その折り返しにニアで合わせた開始3分の決定機、あるいは柴崎→三好→中島→安部とパスがつながったタイミングでゴール前に侵入し頭を合わせた9分の得点チャンスなど、周囲とのプレー経験の少なさをまるで感じさせない。

 ディエゴ・ゴディン、ホセ・ヒメネスのアトレティコ・マドリーCBコンビの激しいマークを受けながらも、しっかりとタメを作り、攻撃陣が上がる時間も作る。森保ジャパン発足後、最大の懸念材料と言われた「大迫(勇也)依存症」を忘れるほどの効果的な一挙手一投足で、見るものを驚かせた。

「(前線で起点になることは)FWとしてやらなきゃいけないこと。できて当たり前だし、今後も求められること。サコの場合はタメてから決定的チャンスを作ったり状況判断できるのがよさだけど、自分はよりゴールにチャレンジしていけるタイプ。それが今日は50~60%はできた」と本人も完全復活に手ごたえをつかんだ様子だ。

 さらに圧巻だったのが、1-1で迎えた後半13分の三好の2点目のシーン。杉岡大暉が敵陣コーナー付近からクロスを上げた瞬間、岡崎がニアに飛び込んでつぶれ、GKフェルナンド・ムスレラがクリア。そこに背番号11が詰める形から得点が生まれた。

 まるでロシア大会・セネガル戦の本田圭佑の同点弾を演出した時のような「黒子の働き」で彼は貴重な1点をもたらしたのだ。岡崎慎司の真骨頂が発揮されたと言っていいだろう。

フレッシュな守備陣を大いに盛り立てた川島

川島永嗣
川島永嗣は若き日本代表を最後尾から支え、安定感を与えた【写真:Getty Images】

 一方の川島も間一髪のピンチには必ずと言っていいほど顔を出し、失点を未然に防ぎ続けた。前半32分にVAR判定によるPKをスアレスに決められた1失点目、そして後半20分にリスタートをヒメネスに沈められた2失点目は悔やまれたが、GKとしては手の施しようがないゴール。それを差し引けば、この日の彼はほぼパーフェクトなゴール前の仕事ぶりで若くフレッシュな守備陣を大いに盛り立てたのだ。

「決定機を何度も止められたとは思っていないです。ポストに助けられた部分もあったし、そんなに危なくないシュートが飛んできた部分もあるから。守備陣がホントに最後のところで体を張ってくれたのが大きい。

チリ戦を踏まえて『ここは耐えなきゃいけない』っていうみんなの意識が今回は非常に強かったし、コパ・アメリカっていう大舞台に来てみんな堂々と戦っている。今の若い世代の気持ちの持ち方というのは賞賛に値すると思います」とベテラン守護神は自分自身よりも冨安や杉岡ら東京五輪世代のDF陣を引き立てることを忘れなかった。

 とはいえ、「永嗣さんが的確な声掛けをしてくれるので安心して守備にいけた」と杉岡も言うように、百戦錬磨のGKが背後に陣取る精神的な安心感は、国際経験の少ない若手にとって非常に大きかったのは確か。終盤の猛攻をしのぎ切れたのも、川島効果によるところが大だった。

 過去3度のワールドカップを経験してきた2人が活躍したことで、8強入りに首の皮一枚つながった日本。その行方は他グループの動向にもよるが、エクアドル戦に可能性をつなげたのは事実。「この3試合の中で間違いなく一番重要な試合になる」とキャプテン・柴崎も語気を強めたように、今大会の命運を左右するグループ最終戦で勝ち点3を必ず手にしようと思うなら、森保監督は岡崎と川島を連続スタメン起用すべきだ。

 もちろん今大会が東京五輪を見据えた強化であることは誰もが分かっているが、そのためにも強豪と対峙できるチャンスを1つでも増やすことを第一に考えなければならない。そのために勝利を引き寄せられるベテランコンビの存在は必要不可欠だ。その重要性を今一度、改めて強調しておきたい。

(取材・文:元川悦子【ブラジル】)

【了】

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