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ドルトムント、香川真司も舌を巻いた“ロイス・システム”。強力故の弱点も…限界露呈した後半戦【18/19シーズン総括(12)】

シリーズ:18/19シーズン総括 text by 本田千尋 photo by Getty Images

無敵だった前半戦。後半失速も悲観せず?

 特に攻守にがっちり噛み合った前半戦は、“無敵”とさえ言える出来を披露。リーグ戦では11月にホームで宿敵バイエルン・ミュンヘンを3-2で撃破すると、12月の前半最終戦では好調のボルシアMGを2-1で退け、首位で折り返す。チャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグもアトレティコ・マドリードを抑えて首位通過。

 もちろんCLではアウェイのアトレティコ戦を0-2で落とし、リーグ戦では12月にカウンター主体のデュッセルドルフ相手に1-2で敗れて不覚を取るなど、一分の隙もなく完全無欠だったわけではない。だが、ファブレが就任してまだ1季目であることを考えれば、十分過ぎる結果を出したと言えるだろう。

 スイス人指揮官の就任会見で、ハンス・ヨハヒム・ヴァツケ社長は、18/19シーズンの目標を「チャンピオンズリーグの出場権を得ること」と語っていたのだ。つまり、リーグ戦を最終的に4位で終えること。そう考えれば、前半戦を首位で折り返したことは、やはり目標を達成するために十分過ぎる結果だった。

 だから、後半戦に入って、チームがやや失速したことも、許容範囲と言えるのではないか。ファブレ監督が築き上げた“ロイス・システム”は、ロイスが中心であり、だからこそ、同時に弱点でもあった。何らかの理由でロイスを欠いた時、18/19シーズンのドルトムントには、代わりを務めることのできる選手がいなかったのである。

 実際、ロイスは2月に負傷離脱。2月5日に行われたDFBポカールのラウンド16、対ヴェルダー・ブレーメン戦で筋肉を痛めた主将は、復帰までおよそ1ヶ月を要した。そしてロイスがいない間、ドルトムントはブレーキが掛かったように勝てなくなってしまう。

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