PSV、補強は主力の抜けた穴埋めが中心。堂安律獲得も重要性は低く…真価は欧州の舞台で問われる【欧州主要クラブ補強診断(12)】

2019/20シーズンは、夏の移籍市場が終了した。この夏も各チームで様々な移籍があったが、それぞれ主要クラブの動きはどうだったのだろうか。今回はPSVの補強を読み解く。(文:編集部)

2019年09月26日(Thu)10時00分配信

シリーズ:19/20欧州主要クラブ補強診断
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運命を握るのは将来有望な若手選手

PSV
堂安律などを補強したPSV。そのほとんどは主力の抜けた穴埋めという形になった【写真:Getty Images】

 オランダの名門であるPSVが国内最大のライバル・アヤックスに「優勝」という二文字を譲ったのは昨季のこと。PSVはチャンピオンズリーグ(CL)でベスト4進出を果たし、追い風を受けていたアヤックスに対して最後の最後まで喰らい付いたが、勝ち点わずか3の差を埋めきれず、2位でリーグ戦を終えることになったのだ。

 そんなPSVの今季の目標は、もはや言うまでもない。アヤックスからリーグタイトルを奪還することだ。元オランダ代表MFのマルク・ファン・ボメル監督率いるチームは、ヨーロッパリーグ(EL)と並行してリーグを戦いながら、より高みを目指すことだろう。

 ただ、PSVの今夏における補強に関して言えば、最優先事項は主力選手の抜けた“穴埋め”だったと言える。

 マッカビ・ハイファへ去ったDFトレント・セインズベリーの後釜にはシュツットガルトからDFティモ・バウムガルトルが迎えられた。こちらはまだ23歳と若いドイツ人プレイヤーであり、アグレッシブな守備を持ち味としている。フィードの正確性にも長けるなど、将来が期待されている選手だ。

 DFアンヘリーニョがマンチェスター・シティに去ったことで、左サイドバックの新たな駒として獲得したのがDFトニ・ラト。DFジョルディ・アルバ、DFファン・ベルナト、DFホセ・ルイス・ガヤなど数多くの名手を輩出したバレンシアからやってきたスペイン人DFは、まだ21歳ながらスピード、クロス、縦への推進力すべてを高いレベルで兼ね備えている。今季のPSVにおける左SBのファーストチョイスはMFミハウ・サディレクになりそうだが、控えに置くにはもったいない存在である。

 そして、PSVの攻撃の核となっていたFWイルビング・ロサーノがナポリへ去ったが、同選手とポジション的には被るMF堂安律とFWブルマが加わった。後者は今季も主力としてプレーすることが有力だが、日本人MFに関しては恐らく2番手のような位置づけだ。同ポジションにはFWステフェン・ベルフワインやFWコディ・ガクポ、FWモハメド・イハッターレンなど若きタレントが充実しており、堂安獲得の重要性は低かった、との意見も出ている。フローニンヘンからやってきた同選手の新天地における1年目は予想以上に難しいものとなるかもしれない。

 そして、昨季のエールディビジ得点王に輝いたFWルーク・デ・ヨングを失ったCFの位置には、マルセイユからFWコンスタンティノス・ミトログルが加入。ただ、同選手はファーストチョイスとはならないようで、同ポジションにはFWドニエル・マレンが収まることになりそうだ。もちろんミトログルも経験は豊富で、2番手としては頼もしい選手と言えるだろう。

 目標であるリーグタイトル獲得へ向け、戦力は十分に揃っていると言える。あとは、ELという舞台でどこまで上に行けるのかも、PSVの力を示す意味で重要となってくるはずだ。

 そんなチームの運命を握るのは若手選手と言える。マレン、ベルフワイン、イハッターレン、ガクポ、MFパブロ・ロサリオ、DFデンゼル・ドゥムフリース。もちろん堂安もだ。各ポジションに優秀な人材は揃っており、彼らが安定したパフォーマンスを見せることができれば、PSVはリーグ戦だけでなく、欧州の舞台でも台風の目となることができるだろう。CLの予選敗退は残念な結果だったが、その悔しさをバネに新シーズンを駆け抜けてもらいたい。

補強・総合力診断

PSV
PSVの2019/20シーズン予想布陣(黄色は新加入選手)

IN
GK ロビン・ロイター(サンダーランド)
GK ルーク・コープマンス(MVVマーストリヒト/期限付き移籍期間満了)
GK ラース・ウンナーシュタル(VVVフェンロ/期限付き移籍期間満了)
DF ティモ・バウムガルトル(シュツットガルト)
DF オリビエ・ボスカーリ(ニース)
DF トニ・ラト(バレンシア/期限付き移籍)
DF デリック・ルカッセン(ヘルタ・ベルリン/期限付き移籍期間満了)
MF 堂安律(フローニンヘン)
MF イブラヒム・アフェライ(未所属)
FW ブルマ(RBライプツィヒ)
FW コンスタンティノス・ミトログル(マルセイユ/期限付き移籍)
FW サム・ランメルス(ヘーレンフェーン/期限付き移籍期間満了)

OUT
GK エロイ・ローム(コロンバス・クルー)
GK ヒデ・ユリウス(デ・フラーフスハップ/期限付き移籍期間満了→期限付き移籍)
GK ルーク・コープマンス(ADOデンハーグ/期限付き移籍)
DF アンヘリーニョ(マンチェスター・シティ)
DF アジズ・ベヒッチ(バシャクシェヒル)
DF トレント・セインズベリー(マッカビ・ハイファ)
DF アルマンド・オビスポ(フィテッセ/期限付き移籍)
DF デリック・ルカッセン(アンデルレヒト/期限付き移籍)
DF ケネル・パール(ズウォレ/期限付き移籍期間満了→完全移籍)
MF ダンテ・リゴ(スパルタ・ロッテルダム/期限付き移籍)
MF マウロ・ジュニオール(ヘラクレス・アルメロ/期限付き移籍)
MF バルト・ラムセラール(ユトレヒト/期限付き移籍)
FW イルビング・ロサーノ(ナポリ)
FW ルーク・デ・ヨング(セビージャ)
FW マキシミリアーノ・ロメロ(ベレス・サルスフィエルド)

補強評価:C

 補強の最優先事項は主力選手の抜けた穴埋めということになっていたが、その辺りの対応はほぼ満点と見てもいいだろう。ただ、そのほとんどの選手が控え要員となりそうで、今のところスタメンで力を発揮しているのは昨季から引き続きチームに所属する若手選手たち。新戦力が実力を発揮するのはまだ先の可能性が高く、評価はC止まりとなった。

総合評価:C

 オランダ国内では優勝を狙える位置にいるのは確かだ。今季もアヤックスやフェイエノールトといったクラブと激しいタイトル争いを繰り広げるだろう。ただ、欧州の舞台でどれほど力を示せるのかは不透明な部分がある。すでにCLの予選でも敗退している通り、欧州4大リーグの上位陣との差はもちろんのこと、他国の上位クラブと比べてもそれほどずば抜けた戦力があるとは思えない。もちろん将来有望な若手選手が揃っており、彼らが爆発すれば本当に怖いチームとなるはずだが…。

【了】

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