U-22日本代表はなぜここまでの完敗を喫したのか? 溢れ出す課題、東京五輪での金メダルは夢のまた夢

U-22日本代表は17日、キリンチャレンジカップ2019でU-22コロンビア代表と対戦し、0-2の完敗を喫している。森保一監督はこの試合に向け、久保建英や堂安律、板倉滉といったA代表常連組を招集し、ベストメンバーを組んで挑んだが、結果、内容ともに不安が残るゲームとなってしまった。U-22日本代表はなぜここまでの完敗を喫してしまったのだろうか。(取材・文:元川悦子)

2019年11月18日(Mon)10時30分配信

text by 元川悦子 photo Shinya Tanaka
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久保や堂安を招集も…

U22日本代表
U-22日本代表は17日、U-22コロンビア代表と対戦し、0-2の完敗を喫している【写真:田中伸弥】

「国内初の試合ということで『勝たなければいけない』という気持ちが逆にプレッシャーになったのか、固い入りをしてしまい、相手にペースを握られ、厳しい試合になった。東京五輪本番はもっと難しい戦いになる。もっとメンタルを強くして、アグレッシブに戦えるようにならないといけないと思います」

 前日に合流したばかりの森保一監督が厳しい表情を見せた通り、17日のU-22コロンビア戦に挑んだU-22日本代表は0-2で完敗。シュート数やデュエルの部分の勝率含めて内容でも相手に上回られる不本意な戦いを見せてしまった。

「東京五輪金メダル獲得」を至上命題に掲げる指揮官は、同じインターナショナルウイークに2022カタールワールドカップ・アジア2次予選がある中、あえて堂安律、久保建英、板倉滉のA代表組をU-22代表活動に専念させ、本番への布石を打とうとしていた。が、ふたを開けてみると久保も堂安もシュート2本のみ。板倉は球際や寄せの部分で劣勢を強いられ続け、A代表組加入の目覚ましい効果がないまま貴重な1週間の活動を終えることになった。

 この日の日本は、序盤こそ久保や堂安を起点にした仕掛けを見せ、彼らが何度か直接FKのチャンスをつかむなど、ゴールを奪えそうなムードが漂った。しかし、個の力に秀でたコロンビアが徐々にサイドアタックで威力を発揮。日本の両ウイングバックが下げられ、チーム全体が低い位置に引かされた結果、堂安と久保、最前線の上田綺世が孤立するという想定外の形で前半を終えた。

 0-0で迎えた後半、コロンビアはさらに攻めを加速させ、開始3分に先制点を奪う。左サイドからのクロスを立田悠悟が競ったボールが相手にこぼれ、サンドバルがシュート。GK大迫敬介はコースに入っていたが防ぎきれず、不運にも枠に入ってしまったのだ。

 この1失点目でチーム全体が落胆したのか、さらにズルズル下がる羽目になった。11分後にはハーフウェーラインから相手にはがされて独走を許し、最終的にフリーのラミレスに展開されて2点目を奪われるという信じがたい失点シーンを作られた。

問題だったのはメンタル面だけでなく…

 最終ラインの一角を占めた板倉は「ハーフウェーラインくらいでやられて、結局それが失点まで行ってしまった。1対1の場面での戦いをもっともっと見せないといけなかった。相手が来ている中で受け身になってしまった」と反省しきりだった。

 そのうえで「東京五輪の初戦を日本でやるとなった時の緊張感は今日以上のものがある。そこでまた受け身になるようじゃ絶対にダメ」と強調。闘志を奮い立たせたが、やはり森保監督が指摘した通り、国内初試合の勝利の重圧に彼らが苦しんだのは事実だったようだ。

 しかしながら、問題だったのはメンタル面だけではない。球際や1対1という基本的なところで勝てなかった事実をより重く受け止めるべきだ。この世代は6月のトゥーロン国際トーナメントで準優勝し、10月のブラジル遠征で王国を敵地で撃破するなど、底力はあるはず。にもかかわらず、今回はコロンビアの個人技術と打開力の前に歯が立たなかった。

 立田はミスが目立ち、中山雄太と田中駿汰の両ボランチはただ下がって守るだけで、攻めの起点になるプレーがほとんど見られなかった。右サイドの菅原由勢はまだ前へ行く姿勢を見せたが、左の菅大輝の方は相手を受ける形が目立った。

 局面で負け続けた結果の惨敗というのは2度と繰り返してはならないものだ。久保も「あの時、負けといてよかったなと思えればいい」とこの敗戦を教訓にしなければならないという自覚を示したが、いかにしてこの惨状から這い上がるのか。それを各々が真剣に考えていくべきだ。

 もう1つの懸念材料は連係面。堂安と久保、板倉がU-22世代に融合したのは久しぶりだったが、彼らは2017年U-20ワールドカップに揃って参戦。その時のメンバーには中山や小川航基、三好康児、原輝綺らがいて、全員が初対面というわけではなかった。お互いの特徴を知るメンバーが中核となってコンビネーションを作るなどの工夫はできたはずだ。が、今回はそういう余裕がほぼなく、限られたメンバーの点と点の関係だけで打開しようとしていた。

 それではコロンビアのような強豪を崩してゴールを奪うことはできない。今後もこのU-22代表はベストメンバーが揃えられるタイミングがほとんどないだけに、いかにしてチーム完成度を高めていくかという問題は残る。その時間的な部分をどう乗り越えていくのか。森保監督にとっても頭が痛い状況だ。

指揮官の兼任による弊害も悩みの種

森保一
森保監督のA代表との兼任による弊害も、ないとは言い切れない【写真:田中伸弥】

 さらに気がかりな部分を挙げるとしたら、指揮官の兼任による弊害だ。今回は強行で前日入りし、会見に出席し、選手にミーティングで話をして挑んだが、実質的な采配は横内昭展コーチが振るう形を取った。となると、選手たちはどちらの顔を見ながらプレーすればいいか混乱する。

 森保監督は試合後「東京五輪金メダルの目標は私だけのものなのか、チームで共有しているのかと選手に問いかけた」と怒りに満ちた表情で語ったが、現場で指導できない指揮官の情熱と意欲がどこまで選手たちに伝わったかは未知数だ。横内コーチとの考え方や共通性は一致していて、ブレはないことも分かるが、やはり船頭が2人いる状態は芳しいものではない。2020年東京五輪イヤー突入後もその状況が大きく改善されないと見られるだけに、不安は募る。

 いずれにせよ、このような戦いをしていたら、東京五輪金メダルは夢のまた夢だ。それを森保監督も選手たちも痛感したことだけが今回の収穫と言っていい。

「選手がクラブに帰って個の力を上げるしかない」と久保や板倉もコメントしていたが、まずはそれをしっかりと遂行してもらうしかない。2万6000人もの大観衆が後押ししてくれたのにもかかわらず、その追い風を生かせずに惨敗した経験を教訓にしなければ本当に意味がない。彼らにはここから這い上がってほしいものだ。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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