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日本代表、兼任監督が限界な理由。もはや時代錯誤…2つの敗北が示唆する森保監督に課せられた無理難題

text by 編集部

森保一
日本代表の森保一監督【写真:田中伸弥】

【日本 1-4 ベネズエラ キリンチャレンジカップ2019】

 キリンチャレンジカップ2019の日本代表対ベネズエラ代表戦が19日に行われ、ホームの日本代表が1-4で大敗を喫した。

 11月のインターナショナルマッチデー(IMD)で日本代表は14日にキルギス戦、19日にベネズエラ戦を戦った。木曜日、火曜日の開催は通常通りだが、いつもと違ったのは17日にU-22日本代表のキリンチャレンジカップが開催されたことである。

 森保一監督は14日のキルギス戦をアウェイで指揮したのち、帰国してU-22日本代表に合流。17日に広島でU-22コロンビア戦の指揮を執り、大阪に移動して19日のベネズエラ戦に臨んだ。

 U-22世代にとってもこの試合は重要な機会だった。来夏に控える東京五輪までに残された強化の機会は数えるほどしかないのである。

 12月28日にはU-22ジャマイカ代表とのキリンチャレンジカップが控えている。海外組はクリスマス休暇と重なるためにクラブの公式戦がない選手もいるが、IMDではないので招集できるとは限らない。次の活動期間は1月のAFC U-23選手権タイ2020だが、こちらもIMDではないので海外組の招集は難しいだろう。

 来年の3月や6月のIMDにマッチメイクをして久保や堂安をU-22日本代表に呼ぶことはできる。しかし、カタールワールドカップ・アジア2次予選が予定されているために、森保監督が五輪世代を指揮することは難しい。

 森保監督の指揮のもと、海外組を招集する機会が限られていると分かっているからこそ、U-22コロンビア戦には、久保建英、堂安律といったA代表に名を連ねる選手を呼んだ。結果は奮わなかったが、必要なプロセスだったと言える。

 日本代表ではフィリップ・トルシエがかつて、シドニー五輪代表とA代表の監督を兼任した。だが、前例を理由にするのは時代錯誤と言えるのではないだろうか。海外組が8人もいる状況では、20年前のように国内合宿を頻繁に行うことはできない。状況が違い過ぎるのである。

 IMDでしか選手を招集できないがIMDでは監督が不在。こんなことは分かり切っていたはずだ。森保監督からしてみれば、無理難題を押し付けられたとも言える。

 自国開催の東京五輪で金メダルを目指すと言っておきながら、その実、指揮官が満足に采配を振るえないスケジュール。果たして、今月のIMDでは、キルギスには勝利したものの、U-22コロンビア戦とベネズエラ戦では完敗を喫した。2つの敗北は兼任監督の限界を示唆しているのかもしれない。

(文:編集部)

【了】

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