日本代表、机上論に終わった“プラン”。韓国の思惑通り、何とかするには大島僚太が必要だった【西部の目/E-1サッカー選手権】

日本代表は18日、E-1サッカー選手権で韓国代表に1-0で敗れた。前半から相手の速いプレッシャーに苦しみ、準備していた「形」を実現させることはできなかった。プランニングの段階で目測を誤ったと言えるだろう。(取材・文:西部謙司【韓国】)

2019年12月19日(Thu)10時18分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司 photo Getty Images
Tags: , , , , , , , , , , , , , ,

共有していた「絵」を描けない

1219Oshima_getty

日本代表の大島僚太【写真:Getty Images】

【日韓戦どこよりも早い採点はこちら】

 韓国は主に両サイドに、ときおり日本のCBの間に、ロングボールを蹴った。それが直接チャンスにならなくても、セカンドボールを拾うか日本のボールになってもハイプレスでビルドアップを封じる。押し込んで得点源のCK、FKを得てゴールを狙う。前半は韓国の思惑通りの流れになっていた。

 森保一監督は「後手を踏んだとは思わない」と話している。韓国の作戦は「想定内」だったという。CKからバーとポストに当てられていたが、ロングボールそのものは跳ね返せていた。問題はその後だ。韓国のプレスを容易に外せなかった。

 外してしまえばカウンターを打てる。カウンターをスローダウンさせられても押し込める。押し込めば失ってもハイプレスができるので韓国にロングボールの起点を作らせないことも可能になる……はずだった。ところが、最初のハイプレスを外すことがおぼつかないから、その後の流れも当然作れなかった。

 日本は韓国のプレスをいなしてトップにクサビを入れて押し上げるプランだったはずだ。

 この日の先発メンバーで行っていた2日前のトレーニングを見る限り、アップの段階からクサビでテンポアップする練習を入れていて、クサビは明らかにメインテーマだった。それがこのチームのコンセプトの一部でもあるのだろう。だが、それは「形」として正しくても試合では実現されていなかった。プレスをいなせず、まれにクサビを入れても収まらない。まさに机上論でしかなかった。

 経験の少ない選手も多く、序盤の韓国の勢いに対抗できなかった。相手のプレッシャーが速いので、共有していた「絵」を描けない。ただ、これは中国戦である程度予想がついてもよさそうなものだ。現状で何とかするには大島僚太が必要なことも。立ち位置で外せるほど、この即席チームのビルドアップは洗練されていない。準備と人選のミスが前半の劣勢を招いたといえる。

想定外だったのは…

 絵に描いた餅を実際のものにするには大島が必要だった。60分過ぎに大島が入ると、日本はようやく押し込めるようになっている。韓国のプレッシャーが弱まる時間帯での投入でもあった。

 できるだけ早くクサビを入れるのではなく、中盤中央を支配してからサイドへ起点を作った。中央へ寄せてのサイドなので、相手のサイドバックも絞ってからサイドへ流れる動きになる。ディフェンスラインがスライドするので隙間ができる。ようやく森島司がニアゾーンへ走り込む場面も出てきた。

 攻略プランのメインにすべきだったのは直接のクサビではなく、中央をとってからのサイド起点だったのだ。

 大島を先発で使っていたとしても、韓国の前半のハイプレスはいなせなかったかもしれない。しかし、彼がいなければさらにどうにもならないのだ。ロングボールを蹴り返したところで前線に人がいないので無意味である。前半を耐え忍ぶつもりだったとしても、タッチラインの外へ蹴り続けるというわけにもいかない。

 失点は自陣からの橋岡大樹のパスが引っかけられたところから始まっている。前から行けば奪えると決めてかかっていた韓国の思うつぼだった。日本にプレスしても奪えないかもしれないと一瞬でも思わせられなかったのが、前半の流れを決めてしまった。

 韓国の出方を予想できていたなら、ハイプレスを無効化できるかどうかが決定的なのは自明である。もう少しやれるだろうと考えたから、体調も考慮して中国戦のセットを選んだのだろうが、想定外だったのは相手ではなかったわけだ。

(取材・文:西部謙司【韓国】)

【了】

新着記事

↑top