中島翔哉、低調ポルトでも輝きは色あせず。失点関与は不可抗力、今季初の逆転勝利で存在感

ポルトは現地10日、ポルトガルリーグ第16節でモレイレンセに4-2で勝利を収めた。しかし、苦手なアウェイでの戦いは予想以上に厳しいものに。先発起用された中島翔哉も苦しみはしたが、ゴール前で確かな存在感を発揮した。(文:舩木渉)

2020年01月11日(Sat)11時43分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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開始3分で失点に関与してしまい…

中島翔哉
ポルトに所属するMF中島翔哉【写真:Getty Images】

 出だしは最悪。それでも勝ち点3を手にし、終わりよければすべてよしである。現地10日に行われたポルトガル1部リーグ第16節、ポルトはモレイレンセと対戦し4-2で今季初の逆転勝利を収めた。

 公式戦5試合連続で先発メンバーに名を連ねたポルトのMF中島翔哉は、開始2分過ぎに失点のきっかけとなってしまった。ピッチ中央付近にポジションを取っていた背番号10は、左サイドから相手のプレッシャーを避けてボールを運んできたFWムサ・マレガと入れ替わるのに失敗して衝突。

 ボールは相手のもとにこぼれ、全く準備の整っていなかったポルトの守備陣はカウンターであっさり崩されてしまった。これが両チーム合計6つのゴールが生まれる乱打戦の始まりになるとは、その時誰も想像しなかっただろう。

 最終的に4ゴールを奪って逆転勝利を収めたポルトだったが、全体を通してみれば低調と言わざるをえなかった。DFぺぺが左足の怪我、相方のDFイバン・マルカノは警告の累積により出場停止だったため、攻守においてチームの軸を担っていたセンターバックコンビを欠いていたことが最も大きな要因だった。

 代わりに先発起用されたDFチャンセル・ムベンバとDFジオゴ・レイチはビルドアップ時の貢献度が主戦の2人に比べて低く、ほとんど実戦で組んだ経験もなかったため守備時の安定感にも乏しかった。

 ポルトの中盤はやや組み立てに難があるため、パスの循環が滞り、うまくボールを支配できない。そうなると中島もトップ下のポジションから下りてビルドアップを助けようとするが、4-4-2でタイトなブロックを築くモレイレンセの守備網に絡め取られ、いい形でパスを受けて前を向けるシーンは少なかった。

 それでも中島は要所で輝きを放つ。13分には左サイドで果敢に仕掛けてファウルを獲得すると、DFアレックス・テレスの蹴ったフリーキックが相手GKに厳しい対応を強いるチャンスにつながった。16分には右サイドからやや強引にミドルシュートを放つ積極性も見せた。

計6ゴールが生まれる大乱戦に

 その後、ポルトは32分にアレックス・テレスのコーナーキックからFWチキーニョ・ソアレスがヘディングシュートでゴールネットを揺らして同点に追いつく。そして37分にDFヘスス・コロナがモレイレンセのDFアブドゥ・コンテにペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。アレックス・テレスがこれを沈めて一気に勝ち越した。

 だが、不安定な守備陣の甘さによって前半が終わる前に試合は振り出しに戻ることになる。44分、逆サイドからのロングパスをフリーでコントロールしたモレイレンセのDFジョアン・アウレリオがクロスをゴール前に送ると、ニアサイドに相手FWをマークしながら突っ込んだDF陣は触りきれず。

 目の前に3人が突っ込んできていたこともあってポルトのGKアグスティン・マルチェシンも反応しきれず、J・アウレリオの右足アウトサイドから放たれたカーブのかかった絶妙なクロスはそのままゴールネットに吸い込まれた。

 前半が終わって2-2、ポルトはボール支配率67%で試合の主導権を握っているように見えるが、後ろの不安定さによって失点を重ねていた。

 後半に入った54分、中島は得意とするゴール左から右足で巻くシュートを狙うが枠を捉えきれない。するとポルトのセルジオ・コンセイソン監督は、59分にMFマテウス・ウリベを下げてFWルイス・ディアスの投入に踏み切る。

 左サイドを根城にするコロンビア代表ウィングが入ったことで、右サイドMFのオターヴィオがセントラルMFに下がり、中島は右サイドへ。FWムサ・マレガとチキーニョ・ソアレスの2トップを並べる形に布陣を変更した。

 それでもなかなかゴールは生まれず、ポルトがボールを支配しながらも2-2の時間が続く。徐々に残り時間が少なくなっていく中、ようやく待ちに待った勝ち越しゴールが生まれたのは72分だった。

 ペナルティエリア手前でオターヴィオが高く上げたボールを、マレガが頭で逸らす。最後は左サイドから走り込んでいた途中出場のルイス・ディアスが膝で押し込む泥臭いゴールを決めて見せた。

決勝点を呼び込んだ絶妙なコントロール

 この場面で右サイドの中島は、チャンセル・ムベンバからの浮き球パスを胸で絶妙にコントロールし、左を並走してきたオターヴィオに渡すことでゴールの起点になった。なかなか存在感を発揮しきれなかったが、厳しい状況下でもゴールに貢献できることを示せたのは今後に向けてポジティブな材料だろう。

 中島は83分にDFウィルソン・マナーファとの交代でピッチを退き、ポルトは85分にコロナが豪快なボレーシュートを叩き込んで4点目を奪う。終盤まで完璧に歯車が噛み合うことはなかったとはいえ、こうした厳しいアウェイゲームで勝ち星を落とさなかったことが何より重要だ。

 セルジオ・コンセイソン監督は試合後、「うまくいかなかった。不可解な不安や集中力の低下があった」とモレイレンセ戦の不出来を認めた。次節はマルカノが復帰予定とはいえ、主力のセンターバックが欠けるだけでチーム全体の機能性が損なわれてしまう課題は、逆転優勝に向けて改善が必要だろう。またアウェイでのパフォーマンス低下問題も解決せねばならない。

 ただ、中島にとってはチームがうまくいっていない状況でも、ゴールに近い位置で自分の持ち味を発揮できるようになってきているポジティブな変化を確認することができた重要な一戦だったと言えるかもしれない。

 ビルドアップが機能せずパスを受けられる回数が減ると、ポジションを下げてしまう悪癖は時折顔を覗かせるが、以前に比べれば「ポジションを守る」意識に関して長足の進歩が見られる。

 ポルトは中3日で現地14日にタッサ・デ・ポルトガル(ポルトガルカップ)の準々決勝で2部ヴァルジンと対戦し、その後も中2日で17日に強豪ブラガ戦という厳しい日程が続く。幸いなのは圧倒的な強さを見せるホームでの試合が続く点だろうか。

 コンセイソン監督はチームがうまくいかなかったと感じた次の試合でメンバーをいじる傾向があるため、カップ戦では中島に休養が与えられる可能性が高い。格下相手の試合でアピールしたメンバーがいればチーム内競争はより活性化していく。

 次節ブラガ戦は、モレイレンセ戦の最終盤に2枚目のイエローカードを受けて退場となったコロナが出場停止になる見込みで、またも主力を欠いた厳しい戦いが予想されるが、中島にとっては継続性とクオリティを証明するための絶好のチャンスとなるはずだ。

(文:舩木渉)

【了】

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