U-23日本代表、橋岡大樹は元フランス代表テュラムと同系譜。WBはミスキャスト、CBでこそ活かされる魅力とは?【西部の目】

AFC U-23選手権(東京五輪アジア最終予選)で、U-23日本代表はグループリーグ敗退という結果に終わった。ただ、右センターバックと右ウイングバックとして3試合にフル出場した橋岡大樹は、持ち前のスピードを武器に存在感を放った。所属する浦和レッズでも右ウイングバックを本職としているが、その才能はセンターバックでこそ活かされるのかもしれない。(文:西部謙司)

2020年01月24日(Fri)10時00分配信

シリーズ:西部の目
text by 西部謙司 photo Getty Images
Tags: , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

「キンタ・ダンス」に似ている

橋岡大樹
U-23日本代表の橋岡大樹【写真:Getty Images】

 さんざんな結果におわったAFC U-23選手権だったが、その中でも存在感を示していた選手はいた。その1人が橋岡大樹だ。

 従兄弟に陸上競技の橋岡優輝、叔父が棒高跳びの元日本記録保持者、両親も元アスリートというスポーツ一家に育ち、浦和レッズのジュニアユースからトップへ駆け上がってきた。182センチとサイズもあり、スピードが素晴らしい。

 EAFF E-1サッカー選手権でA代表デビュー、続くU-23選手権でも主に右のウイングバックとしてプレーした。右足を縦方向へ少し踏み出すフェイクから、左足でボールを引きずるように縦へ持ち出して突破する。JSLの日産自動車でプレーした金田喜稔が得意とした形で、「キンタ・ダンス」と呼ばれていたドリブルと似ている。当時の日産では木村和司、水沼貴史もこの形を多用していたものだ。スピードを生かすには向いていて、橋岡のそれも効果的だった。

 橋岡のクロスボールは数少ない日本の攻め手になっていた。中央にそれほど高さがないのが難点だったが、それは橋岡のせいではない。ただ、サイドの選手としては組み立てが物足りない。サイドはボールの収まりどころになることが多く、中盤で受けたときにはプレーメーカー的な判断とパスワークが求められる。縦突破という武器はあるが、サイドプレーヤーとしてはもっと器用さがほしいところだ。

センターもサイドもやれる才能

 むしろセンターバックとして大成してほしい気もする。身体能力は高く、高さもそれなりにある。何と言ってもスピードは魅力だ。

 サッカーではポジションによって求められる才能が違う。センターバックにはクロスボールを弾き返すヘディング、1対1での防御力が不可欠だ。したがって大きな選手がほとんどなわけだが、大きな選手はアジリティやスピードに欠けることがある。一方、サイドプレーヤーには小柄な選手が多い。求められる才能の第一がスピードなので、サイズはそれほど影響しない。橋岡はセンターもサイドもやれる才能がある。

 サイド、センター両用のDFとしては、酒井宏樹、冨安健洋、槙野智章がいるが、そんなに数は多くない。

 センターもできるサイドバックか、サイドもできるセンターがいいのかは一概に言えないが、スピードのあるセンターバックの利点はカウンターアタックに強いことだ。ボールを保持するプレースタイルの場合、相手のカウンターアタックへの守備がカギになる。ボール保持と速いセンターバックはセットといっていい。横浜F・マリノスのチアゴ・マルチンスが好例だろう。

目指すべきは元フランス代表DF?

0124Hashioka_getty
橋岡大樹は浦和レッズでも主に右ウイングバックとしてプレーしている【写真:Getty Images】

 ボール保持型チームのサイドバックは攻撃時にかなりポジションを上げるので、センターバック的な能力よりもMFやFWを兼任できる攻撃力がほしい。橋岡はそのタイプではない。チームがボールを保持できて押し込めるなら、橋岡のタイプはセンターバックのほうが貢献できる。その点で、U-23選手権のサイド起用はややミスキャストだったのではないか。

 現在は代表でも浦和でもサイドで起用されているが、いずれセンターに移るのではないか。リリアン・テュラムは右サイドバックとして1998年W杯優勝メンバーとなったが、後にセンターへ移動している。やはりセンターの守備力とサイドのスピードを兼ね備えた逸材だった。ただ、サイドバックとしては異常に粘着力のあるキープ力はあったものの、クロスはあまり上手くなかった。

 スペイン代表のカルレス・プジョル、セルヒオ・ラモスもサイドからセンターへ移動してキャリアピークを迎えた。所属するチームとの関係しだいだが、橋岡もそっち系ではないかと思う。

(文:西部謙司)

【了】

新着記事

↑top