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驚異の成り上がりで夢を叶えた5人のサッカー選手。工場からプレミア制覇、スーパー店員からCL優勝も

シリーズ:編集部フォーカス text by 編集部 photo by Getty Images

18歳で父になり一時引退→倉庫勤務→W杯出場

ホセ・ホレバス
【写真:Getty Images】

ホセ・ホレバス(元ギリシャ代表)

生年月日:1984年6月27日(35歳)
現所属クラブ:ワトフォード(イングランド)

 ギリシャ人の父とウルグアイ人の母を持つドイツ生まれのホレバスは、プロクラブの下部組織に在籍した経験がない。8歳で地元に近いアマチュアクラブのFCスードリングでサッカーを始め、FCクラインヴァルシュタット、TSVトイトニア・オーベルナウを渡り歩き、2001年に一度サッカーで夢を追いかけるのを諦めた。

 理由は当時交際していた彼女が身ごもり、18歳で娘タニシャちゃんの父親になったから。エリート街道とは無縁のキャリアを送ってきたホレバスは家計を支える必要に迫られ、倉庫で昼夜を問わず働いた。再びサッカーで夢を追うきっかけになったのは、「第二の父」と慕うウルグアイ人の叔父アルフォンソからの助言だったという。2002年に現役復帰を決断し、地元のSV1910アシャッフェンブルク・ダムの下部組織に加入して、2005年までプレーした。

 そして2005年にドイツ6部相当のヴィクトリア・カールへ移籍し、ストライカーとして33試合に出場して15得点を挙げる活躍を披露。リーグ得点王に輝き、翌2006/07シーズンに当時ドイツ2部に所属していた1860ミュンヘンのリザーブチームに加入する。

 2007年夏に自身初のプロ契約を勝ち取ると、同年9月に23歳でトップチームデビューを果たした(写真左)。その頃はまだストライカーだったが、2009年にエヴァルト・リーネン監督によって左サイドバックにコンバートされて、キャリアが大きく好転していくことになる。

 サイドバックながらブンデスリーガ2部で31試合出場4得点と圧巻の攻撃スキルを武器に台頭すると、2010年夏、ホレバスは父の祖国ギリシャの名門オリンピアコスに引き抜かれる。新天地では在籍4シーズン連続でリーグ制覇に大きく貢献し、2011年にギリシャの市民権を取得して同国代表にも定着。EURO2012や2014年ブラジルワールドカップにも出場した。

 2014年にはセリエAの強豪ローマへ移籍し、30歳にして4大リーグに初挑戦。イタリアでのプレーは1年間のみだったが、2015/16シーズンからはプレミアリーグに活躍の場を移して35歳になっても世界トップクラスの環境で継続的に出場を重ねている(写真右)。かつては守備面に課題を抱えていたが、近年はセンターバックで出場することもあるなど攻守両面で質実剛健な選手になった。2002年に生まれた娘タニシャちゃんは今年で18歳になるはずだ。

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