柏レイソル、古賀太陽の「日本代表じゃないと晴らせない」悔しさ。共通点が多い8年前の前例とは?【東京五輪世代の今(4)】

Jリーグは再び延期が決まり、J1の再開は5月にずれ込むことに。東京五輪も今夏の開催は見送られることとなった。思いがけずおとずれた中断期間に、東京五輪世代の選手たちは何を思うのか。J1に昇格した柏レイソルの古賀太陽にその胸中を聞いた。(取材・文:元川悦子)

2020年03月26日(Thu)10時20分配信

text by 元川悦子 photo Kenichi Kato
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「自分の立場からすると不利」

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【写真:加藤健一】

 北海道コンサドーレ札幌相手に4ゴールを叩き出し、圧勝した2月22日のJ1開幕戦から1カ月。ネルシーニョ監督率いる柏レイソルは「今まで通りのサイクルを続けていく」とコツコツとチームの積み上げを図っている。

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 東京五輪代表候補の古賀太陽は、中断期間に入った3月上旬のトレーニングでケガをしたものの、「やろうと思えばやれるくらいの程度ですけど、試合もないし、ムリする必要はないので、焦らずやろうかと。メディカルだったり、いろんな人と話し合いながらやっていこうと思います」と落ち着いた様子を見せていた。

 2度目の再開予定日だった4月3日に公式戦が行われれば、問題なくピッチに立てる状況ではあったはずだが、25日のJリーグ臨時実行委員会で再々延期が決まった。4月25日にJ3、5月2日にJ2、そして柏レイソルも含めたJ1は5月9日と、段階的な再開が想定されている。

「アピールする機会を失ったので、自分の立場からすると不利というか、難しい状況になってしまった。試合がいつ来るか分からないですけど、自分がどれだけ準備できるかってこと次第だと思うので、自分と向き合い続けるしかないのかなと感じます」と古賀が複雑な胸の内を吐露した。

「悔しさは人一倍」

 彼のような「後発組」が大会直前に賭ける思いを強めていたのは確かだ。古賀の場合、2019年から本格的に森保一監督に招集されるようになり、昨年は6月のトゥーロン国際トーナメントや10月のブラジル遠征に参戦。センターバックと左サイドバックをマルチにこなせる能力の高さを買われ、12月にはEAFF E-1サッカー選手権にも抜擢され、A代表デビューも果たしたほどだ。

 この勢いで今年1月のAFC U-23選手権(タイ)にも参加。しかし、初戦・U-23サウジアラビア戦の後半40分、自陣左サイドから出した彼のバックパスが岡崎慎に合わず、最終的にPKを献上。この失点が致命傷になって日本は初戦を落とし、そのまま3試合でグループ最下位というまさかの結末を余儀なくされることになった。

「タイでの悔しさは人一倍あります。あの悔しさは代表じゃないと晴らせない。そういう気持ちがあるんで、公式戦ができない今の状況はホントに悔しいです」と古賀は神妙な面持ちで言う。3月に予定されていたU-23南アフリカ代表とU-23コートジボワール代表とのテストマッチ2連戦での汚名返上を期していたが、それも叶わなくなった。古賀にとってはもどかしい状況が続いているのだ。

酒井宏樹という前例

「五輪がどうなるか分かりませんけど、自分より上の人たちよりやらなきゃいけない状況には変わりない。チームでやれることをやり続けるしかないと思います」と本人も語気を強めるように、柏で光り輝くパフォーマンスを示してさえいれば、森保監督も「絶対に必要」と考えるようになるかもしれない。

 左サイドで言えば、東京世代で絶対的存在と目されていた杉岡大暉が鹿島移籍後、ザーゴ監督にあまり重用されておらず、原輝綺も今季開幕の川崎フロンターレ戦には出ていなかった。攻撃的な人材としては相馬勇紀が傑出した存在感を示しているものの、古賀にチャンスがないわけではない。そこは前向きに捉えていいのかもしれない。

 加えて言うと、古賀は1年後の東京五輪にもU-23の年齢制限に引っかからない。97年生まれの相馬や欧州組の中山雄太、板倉滉らは厳しい立場に追い込まれるが、98年組は逆に存在価値が高まるかもしれない。柏でネルシーニョ監督の信頼を勝ち取り、コンスタントにピッチに立っている古賀なら、さらにチャンスが広がる。そこもポジティブに考えていい点ではないか。

 柏からはかつて酒井宏樹が2012年ロンドン五輪に出場し、ベスト4進出の立役者となった。酒井宏樹は同じくネルシーニョ監督から高く評価され、2011年のJ1で昇格即優勝の原動力となり、大舞台で躍動。その後に欧州へ羽ばたき、現在に至っている。サイドバックというポジションも、アカデミー出身という点も古賀は先輩と共通している。

 仮に今季のJ1で柏が9年前と同じ「J1昇格即優勝」を果たし、古賀がその原動力となったら、五輪行きの夢は広がる。全ては五輪開催時期がどうなるか次第だが、彼はそうやって高みを目指し続ければいいのだ。

「今季の目標はJ1優勝。そして五輪出場です。そのためにはチームで結果を残せるように頑張れればいい。自分のアピールポイントである左右のキックを見てほしいですね」

 2月14日のJリーグキックオフカンファレンスでもこう語気を強めていた古賀。コロナ騒動というアクシデントは発生したものの、見据えるところは変わらない。ブレずに力を蓄えて、守備のマルチロールとしての強みを研ぎ澄ませていくことが肝要だ。果たして彼が酒井宏樹と同じような軌跡を歩めるかどうか。今後の動向を慎重に見守っていきたい。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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