インテル、圧倒的すぎた怪物ルカクの破壊力。マンU時代が嘘のように…コンテ監督下で覚醒へ【EL】

ヨーロッパリーグ(EL)準々決勝、インテル対レバークーゼンが現地時間10日に行われ、2-1でインテルが勝利を収めた。アントニオ・コンテ監督率いるチームがドイツの曲者を撃破できた理由は、一体どこにあるのだろうか。(文:小澤祐作)

2020年08月11日(Tue)11時06分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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曲者を退け初のベスト4入り

インテル
【写真:Getty Images】

 アントニオ・コンテ監督率いるインテルは、現地時間5日に行われたヨーロッパリーグ(EL)・ラウンド16のヘタフェ戦を2-0で勝利。相手のハイプレスに苦戦し、PK失敗などにも助けられたが、チャンスを確実に仕留める勝負強さを見せつけベスト8に駒を進めている。

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 そして迎えたEL準々決勝。相手はペーター・ボシュ監督の下、攻撃的サッカーを持ち味としているレバークーゼンだ。ムサ・ディアビやカイ・ハフェルツなど若手の成長が著しい勢いのあるチームであり、「レバークーゼンには(ヘタフェと)違う強さがあり、スピードがある選手がいるのでカウンターを阻止することが重要になる」とコンテ監督も警戒していた。

 ただ、そんな相手に対してもインテルは自慢の勝負強さを見せつけている。

 立ち上がりからレバークーゼンにボールを支配された。しかし、自陣ではほとんど仕事を与えていない。最終ラインにはそこまで強くプレッシャーに行かず、ある程度ポゼッションを許す形で様子をうかがったのだ。

 反対に、ボールを奪うと素早く縦に展開。レバークーゼンの最終ラインが整う前に崩し切ろうとする意図は明らかだった。

 それが功を奏し、インテルは15分に先制。ロングボールに抜け出したラウタロ・マルティネスがヨナタン・ターとラース・ベンダーを引き付けたことで数的優位な状況を作り、最後はロメル・ルカクのシュートのこぼれ球をニコロ・バレッラがアウトサイドで押し込んだ。

 さらにインテルは20分、左サイドのアシュリー・ヤングがペナルティエリア内のルカクへパス。ベルギー代表FWは相手を背負いながらも強引に前を向き、最後は左足でゴールネットを揺らした。

 インテルは前半のうちにハフェルツに1点を返されたが、その後もより多くのチャンスを作り続けた。追加点をなかなか奪えないモヤモヤした時間帯もあったが、チーム全体として集中力を高く保ち、試合を見事にコントロール。時計の針をうまく進めた。

 1点を追うレバークーゼンはレオン・ベイリーやカリム・ベララビ、ヴェンデウ、ルーカス・アラリオを投入するなどかなり攻撃的に出てきたが、インテルの牙城はそれでも崩れなかった。

 試合はこのまま2-1で終了。90分間ほとんどの時間でペースを握ったインテルがELという舞台で初のベスト4進出を果たした。「我々は優れたパフォーマンスを見せたので、全員が本当にハッピーだ」とコンテ監督も満足感あふれ出るコメントを残している。

圧倒的存在感を放ったエース

ロメル・ルカク
【写真:Getty Images】

 と、ここまでは試合内容をざっくりと振り返ってきたが、ここからは90分間における大きなポイントをピックアップしていきたい。まず、このゲームを語る上でインテルのエース、ロメル・ルカクを取り上げないわけにはいかないだろう。

 ヘタフェ戦で得点を挙げるなど躍動したベルギー代表FWは、このレバークーゼン戦でも圧巻のパフォーマンスを披露。90分間ほとんど消えることなく、前線で働き続けた。

 レバークーゼンはルカクにマンマークを付けた。その大きな役割を担ったのが、今冬ポルトガルのヴィトーリアからやって来たエドモン・タプソバだ。

 しかし、ルカクはそのマークを難なく無力化した。若きブルキナファソ代表センターバックも身長190cm・体重80kgと体格的には申し分なかったが、ベルギー代表FWのパワーは頭一つ抜けていた。

 とにかく面白いほどボールが収まる。タプソバも長い足を活かして懸命にボールを奪おうと奮闘はしていたが、力でねじ伏せられ簡単に前を向かせてしまった。インテルの追加点の場面でも、タプソバはしっかりルカクについていたが、パワーに圧倒されて最後はゴールネットを揺らされている。

 タプソバだけでなく、チーム全体としてもルカクの存在はかなり厄介だった。レバークーゼンはインテルのビルドアップを封じようと前から果敢にプレッシャーを与え、長いボールを蹴らせることには成功したのだが、前線に張るルカクがそれすらも簡単に収めて起点を作ったのだ。

 こうなると、前掛かりになっているレバークーゼンの中盤のプレスバックが間に合わず、最終ラインとのギャップを幾度となく突かれる。当然、チャンスが訪れたインテルは続々と選手が前に出てくるので、レバークーゼンは数的不利な状況を作られた。GKルーカス・フラデツキーのファインセーブもあって結果的には2失点止まりだったが、早い時間から一方的な展開となってもなんら不思議ではなかった。

 ルカクはボールを収め、散らし、ランニングという動きを90分間継続。タプソバは終盤になると疲労の影響もあったのか、ルカクへの対応がより難しくなっており、最後はほとんどファウルで止めるしかなかった。87分には度重なるファウルでイエローカードも提示されている。

 データサイト『Who Scored』によると、ルカクはこの日チーム最多となるシュート数6本を記録し、攻撃時の空中戦勝利数も5回でチームトップに君臨。ピッチ上で残したインパクトは絶大だった。

 また、ルカクはこの試合で得点したことにより、ELでの出場連続得点記録を「9」に伸ばした。これは2005年、当時ニューカッスルに所属していたアラン・シアラー氏の8試合連続得点を上回る記録となっている。まるでマンチェスター・ユナイテッド在籍時代が嘘のような活躍だ。

忘れてはならない最終ラインの奮闘

 ただ、当然のことながらルカクの活躍だけで勝利できるほどレバークーゼンは甘くない。インテルは、守備陣のパフォーマンスも見事だったと言える。

 先述した通り、レバークーゼンは立ち上がりからボールを支配しながらインテルの綻びを探ってきた。そんな相手に対し、コンテ監督率いるチームは敵陣でのボール回しを許し、ハーフウェイライン付近からプレッシャーの強度を高める守備を披露。ボールホルダーに対し必ず一人が寄せ、正面に立つことで逃げ道を横か後ろに限定させた。

 最終ラインと中盤の距離感もコンパクトに保ち、ラインの上げ下げも柔軟に行うことでレバークーゼンに効果的なスペースを与えることがなかった。たとえハフェルツらにボールを持たれても我慢強く対応してディレイさせ、バレッラやロベルト・ガリアルディーニといった選手の懸命なプレスバックで挟み込んでボールを刈り取った。

 失点はクリアが短くなり、守備陣が少しドタバタした中で招いてしまったものだった。ただ、それ以外で崩されたシーンはほとんどない。シュートブロックも目立つなど、人に対してのアタックはレバークーゼンを大いに苦しめていた。

 後半も終盤に突入するとボシュ監督は攻撃意識を高め、長身のアラリオを投入、ターを前線に張らせるなどパワープレーに出た。実際、ベララビやヴェンデウといったサイドの選手からシンプルなクロスを放り込むシーンは多々見受けられている。

 しかし、コンテ監督はそれも見事に対応。84分にアレッサンドロ・バストーニを下げてミラン・シュクリニアルを入れるなど、より最終ラインに屈強さを加えたのだ。こうしてインテルは最後まで最少失点を守ることとなった。

 ベスト4に進出したインテルは、現地時間17日にシャフタール・ドネツク対バーゼルの勝者と激突する。悲願のタイトル獲得まで、あと2勝だ。

(文:小澤祐作)

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【了】

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