南野拓実のゴールはどのようにして生まれたのか? システム変更が機能した理由と日本代表MFが果たした役割

FAコミュニティーシールド、リバプール対アーセナルが現地時間29日に行われた。試合1-1で90分では決着がつかず、PK戦でアーセナルが5-4と上回っている。この試合で途中出場した南野拓実は、0-1とビハインドで迎えた73分に移籍後初ゴールとなる貴重な同点弾を決めた。システムを変更したリバプールに、どのようにゴールが生まれたのだろうか。(文:加藤健一)

2020年08月30日(Sun)10時52分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
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勇敢さがもたらしたアーセナルの先制点

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【写真:Getty Images】

 アーセナルがチェルシーを下したFAカップ決勝からわずか4週間、新シーズンの前哨戦となるFAコミュニティーシールドが行われた。

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 13分の先制点はゴールキックから始まっている。GKからショートパスをつなぎ、エクトル・ベジェリンからパスを受けたブカヨ・サカが左足でサイドを変える。これを受けたピエール=エメリク・オーバメヤンはカットインから右足を振り抜いてファーのサイドネットを揺らした。

 両チームともにキックオフから自分たちの色を出していた。リバプールはボール保持と素早いボール回収で相手を敵陣に押し込み、アーセナルも自陣にブロックを築きながら、ボールを持てば勇敢にビルドアップを開始している。

 アーセナルはゴールにつながったゴールキックの2つ前のプレーで、リバプールの高い位置からのプレッシャーに晒され、ボールを明け渡している。それでも自分たちのスタイルを貫いたことでビルドアップの出口が開け、先制点へとつながった。

 後半早々にリバプールは決定機を作り出した。ロベルト・フィルミーノがミドルレンジから狙い、サディオ・マネがDFラインの裏を取ってゴールに迫ったが、ゴールネットを揺らすことはできない。すると、59分にユルゲン・クロップは動く。ジェームズ・ミルナーとネコ・ウィリアムズを下げ、ナビ・ケイタと南野拓実を投入した。

 南野の同点弾はサラーのポストプレーが起点になっている。右のハーフスペースから左へドリブルで運ぶと、相手に当たったパスが混戦の中で南野に渡り、正確にゴールに流し込んだ。

 試合は延長戦へともつれた。アーセナルは5人全員が成功したが、リバプールはスウォンジーから復帰したリアン・ブリュースターがクロスバーに当ててしまった。今季1つ目のタイトルは、FAカップ王者のアーセナルが獲得している。

システム変更が機能した理由

 この試合ではトレント・アレクサンダー=アーノルドとジョーダン・ヘンダーソンが欠場。ミルナーがキャプテンマークを巻いて中盤に入り、19歳のウィリアムズが右サイドバックを務めていた。

 この交代により空いた右サイドバックにジョー・ゴメス、ファビーニョがセンターバックにスライド。ケイタとジョルジニオ・ワイナルドゥムが中盤の底に並び、右にマネ、左に南野、中央にフィルミーノとモハメド・サラーという4-2-3-1という布陣に変更している。

 ヘンダーソンとアレクサンダー=アーノルドがいなかったことで、リバプールは右サイドからのボール供給に苦戦していた。ウィリアムズも足下の技術がないわけではないが、アレクサンダー=アーノルドのようなスペシャルなキックは持ち合わせていない。

 サイドチェンジで相手のブロックを左右に揺さぶることができないので、リバプールは相手のDFラインに数的同数をぶつけ、敵陣に押し込む作戦を採用。4人のFWと左サイドバックのアンドリュー・ロバートソンをアーセナルの5バックとマッチアップさせた。

 アレクサンダー=アーノルド不在時の解決策が、南野と3トップの同時起用というのは意外に見えるが、とても理にかなったものだった。

南野拓実が果たした役割

 4-2-3-1という布陣自体は決して目新しいものではない。リバプールはこれまで何度もオプションとして採りこんでいるし、何よりクロップ自身がドルトムント時代にベースとしていた形でもある。リバプールではジェルダン・シャキリを起用した際に使う形だったが、今回は南野を3トップと同時起用する形で実現させている。

 南野は3人のFWとともに裏を取る動きとライン間でボールを引き出す動きを繰り返した。左サイドを基準に流動的に動き、ときには右サイドまで顔を出している。

「ロックダウンの後、タキ(南野)はザルツブルク時代に対戦したときに見たタキになったよ」とファン・ダイクは称えた。世界最高のDFが言うように、南野はチームに順化している。南野の初ゴールは時間の問題だったのかもしれない。

 リバプールは昨季に続いてPK戦に屈したが、今季に向けて新たなオプションに手ごたえを感じている。そしてその一角に南野は組み込まれていた。

(文:加藤健一)

【了】

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