マルセイユ、CLでの不振は「意外」というより「やっぱりな」。躍進の昨季から怪しかった理由は?【欧州CL】

チャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグC組第4節、マルセイユ対ポルトが現地時間25日に行われ、0-2でアウェイチームが勝利した。これでマルセイユはCLワースト記録となる13連敗。しかも4試合を終えて無得点と、泥沼にハマっている。ただ、これは「意外」というよりは「やっぱりな」という印象の方が強いのかもしれない。(文:小川由紀子【フランス】)

2020年11月30日(Mon)10時41分配信

text by 小川由紀子 photo Getty Images
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4戦全敗、さらに無得点

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【写真:Getty Images】

 25日のポルト戦に敗れて、マルセイユがチャンピオンズリーグ(CL)史上最多の13連敗、というありがたくない記録を達成してしまった。

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 データを遡ると、マルセイユのCLでの勝利は10年近く前、2011/12シーズンのラウンド16 の1stレグでインテルに1-0で勝ったのが最後だ。

 連敗伝説は、この次の敵陣での2ndレグからスタートするのだが、このときは1-2で敗れるも、アウェイゴールの利で準々決勝に進み、そこでバイエルン・ミュンヘンに両レグとも負けている。

 この次が2013/14シーズンで、6戦全敗でグループリーグ敗退。ちなみに同グループでともに戦ったのは、アーセナル、ボルシア・ドルトムント、ナポリだった。

 そして7シーズンぶりの出場となった今季、これまでの4試合(オリンピアコス、マンチェスター・シティ、ポルト×2)に全敗し、早くも敗退が決定した。

 全敗という戦績に加えて、これまでの4試合でノーゴール、というのも問題だ。ザルツブルグやインテル、FCミッティラン、ロシアのクラスノダールとゼニト・サンクトペテルブルク、ディナモ・キエフ、フェレンツバロシュ、そして同胞のレンヌと、いまだ0勝のクラブは他にもあるが、「1点たりともゴールを決められていない」のはマルセイユだけ。これは致命的である。

点が入りそうな期待が持てないチーム

 ただ、これは「意外」というより「やっぱりな」という印象だったりする。

 コロナ禍の今シーズンは、長友佑都がデビューしたメス戦しかスタジアムで試合を観られていないが、この試合でも正直、まったく点が入る気がしなかった。前半戦は0-0。71分に相手に先制点を許し、そのまま90分を経過して、敗戦が濃厚となったアディショナルタイムに、ようやくモルガン・サンソンが同点弾をもぎとった。

 敗戦こそ免れたが、「点が入りそうな期待が持てないチーム」というのがこの試合を通しての印象で、実際それは数字にも現れている。

 リーグ・アンでは3位につけている(29日時点)が、9試合で得点数は15。1試合未消化であることを計算しても、彼らより1試合あたりの得点数が少ないのは順位表下位勢など8チームしかない。これでは『Droit au But!』(ゴールに一直線!)というチームスローガンも泣くというものだ。

 そもそも、今季のCL出場につながった昨シーズン2位という成績自体があやうかった。

 開幕戦から黒星スタートで、その後も最下位のディジョンに引き分けるなど、勝ち点3が必須な試合で勝ちきれていなかったのだが、11月、リールとリヨンという強豪との2連戦に連勝したことで流れが変わった。

 それまで下位チーム相手にさえスッキリ勝てていなかった彼ら自身、この連勝には若干驚き気味で、試合ぶりよりも、「着任初年度のアンドレ・ビラス・ボアス監督は“持っている”」という印象の方が大きかった。

 しかしここで上位に浮上したことで勢いに乗り、2月まで14戦無敗ランをキープすることになるのだが、この間、前年度は存在感すらなかった(ファンの方すみません…)セルビア人FWのネマニャ・ラドニッチの大ブレイク、という予想外の追い風もあった。

 入団2年目にして初ゴールをあげたのを皮切りに5得点。しかもブレスト戦では89分に値千金の決勝点、メス戦でも敗戦の危機から救う同点弾をあげるなど、伏兵ラドニッチはヒーロー級の活躍を連発。そんな幸運にも恵まれて、おそらく彼ら自身も、自分たちの強さや真価をしっかりと認識しないまま、3月中旬のリーグ打ち切りを迎えたのだった。

物足りないFW。あまりにトバン頼み

 現在、チームの最多得点者はフロリア・トバンで4得点。アルゼンチン人のFWダリオ・ベネデットはこれまで9試合に出場して1得点。オーバーウェイト気味のディミトリ・パイエは2ゴール。そして、15得点のうち4点はディフェンダーが決めている。

 今年に限らず、近年のマルセイユに欠けているのは、エリア内から高い確率でゴールを決められるセンターフォワードだ。ビルドアップして良いクロスを入れられる人材はいるだけに、最後の決め手に欠けるのが余計に惜しい。

 2010/11シーズンから5年間主砲を務め、現在はメキシコで活躍中のアンドレ=ピエール・ジニャックは、マルセイユ最後の年となった2014/15シーズンには、リーグだけで21点と、パリ・サンジェルマン(PSG)のズラタン・イブラヒモビッチやエディンソン・カバーニよりも多くの得点をマークした。

 翌年のミシー・バチュアイ、次のバフェティンビ・ゴミスまでは、美味しいチャンスを逃すことは多々ありつつも、それぞれ17点、20点と、CFの存在意義を発揮していた。

 しかし彼らが去った後は、マリオ・バロテッリは定着する前に去ってしまったし、ギリシャ代表のコンスタンティノス・ミトログルはもはや黒歴史である。

 25日のポルト戦で先発したヴァレール・ジェルマンは2012/13シーズンのモナコのリーグ・アン昇格の立役者の一人で、ピンチを救うありがたいゴールを決めるなど、リーグ・アンでは試合終盤に投入するジョーカーとして適任だが、CLの先発アタッカーとしてはインパクトが足りない。

 現状はあまりに「トバン頼み」で、相手にとっては守りやすい上に、ポルト戦のように彼の調子がイマイチだと打開策が限られる。トップで張れるFWがいればより多彩な攻撃も仕掛けられるから、昨季リーグ11得点のベネデットがコンディションを上げてくるかが鍵になる。

 マルセイユが目指すはCLグループリーグで3位に浮上してヨーロッパリーグ(EL)出場権を得ることだが、それには次戦、12月1日の第5節で、勝ち点3差のオリンピアコスを破ることが必須だ。最後のホーム戦で意地を見せてくれるか。

(文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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