では、テクノロジーの持つメリットは? 可視化することの利点【アナリストとテクノロジー・後編】

ゴールからの逆算、すなわち「良い立ち位置」を追い求め続けた監督時代の6年間を時系列で振り返りながら、来季からレノファ山口の指揮官として現場に帰ってくる「知将」の戦術指導ノウハウをあますところなく公開した渡邉晋氏初の著書『ポジショナルフットボール実践論』から、アナリストとテクノロジーについて論じた「ポジショナルプレー番外編~チームマネジメント論~」を一部抜粋して前後編で公開する。今回は後編。(文:渡邉晋)

2020年12月30日(Wed)15時10分配信

text by 渡邉晋 photo Getty Images
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《良い立ち位置》の可視化が必要

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【写真:Getty Images】

 もちろん、意見がぶつかることはあると思いますが、今これだけテクノロジーが発達し、いわゆる可視化の部分で進んでいるものがあるのであれば、私はそれを活用してみたいという思いが非常にあります。

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 テクノロジーで言えば、もう一つ。実は《良い立ち位置》というものを可視化することが、テクノロジーで何かできるのではないかと今考えています。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、なかなか話が前に進んでいませんが、映像の質や、その映像を撮っている角度など、そういったものをいろいろ工夫すれば、可能になるのではないかと話し合っているところです。

「良い立ち位置で2人困らせる」と言っても、1メートル違うだけでその《立ち位置》が本当に『良い』のか『良くない』のかは変わってしまいます。ピッチ上で立っている感覚と俯瞰して見たものとを一致させるためには、《良い立ち位置》の可視化が必要になるのです。

 そのためには、相手の守備者の守備範囲というものを可視化して、そこに捕まらないところに立つことが大事だとわかる映像を作る。あるいは、そこからの発展として、捕まる場所に立っていたら、「あえて守備範囲につかまるところに立つ」ことで、「1人しか困らせられないかもしれないけど、この相手を困らせられれば、その裏を誰かが使える」という話にも発展できると思います。

 相手守備者の守備範囲に基づく《良い立ち位置》の可視化。これができるようになると、選手にもよりわかりやすく伝わり、戦術の浸透も早まる可能性があると考えています。選手の感覚、創造性はものすごく大事です。しかし感覚任せですべてを成立させてしまっては、再現性は生まれません。

テクノロジーが持つメリットとは?

 選手の感覚と、見ている私たちの感覚にズレがあっても何となくでOKにしてしまうことはNOであって、それを伝えるためには可視化できるとよい。今後は、リアルタイムで映像をもらって、ハーフタイムに見せるといったことも可能になるでしょう。

 また、守備側から考えると、そこを埋める立ち位置を取れれば、守備においてそのスペースを支配できる。『背中で消す』というのも、どれくらいの距離や角度なら実際の相手を背中で消せるのかというところで、一人ひとりの守備範囲を可視化できれば、攻撃も守備も、最適なポジションに修正していけるだろうと思います。

 相手の守備範囲の届かないところに立ち、そこにパスを出せば必ず通るという考えの共有、そしてそのイメージの体現化に役立つテクノロジーが発展し普及することを願っています。

(文:渡邉晋)

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『ポジショナルフットボール実践論 すべては「相手を困らせる立ち位置」を取ることから始まる』


定価:本体1700円+税

≪書籍概要≫
渡邉晋は《切る》《留める》《解放》など独自の言語を用い、ベガルタ仙台に「クレバーフットボール」を落とし込んだ。実は選手を指導する際、いわゆる『ポジショナルプレー』というカタカナ言葉は一切使っていない。
にもかかわらず、結果的にあのペップ・グアルディオラの志向と同じような「スペースの支配」という攻撃的なマインドを杜の都に浸透させた。フットボールのすべては「相手を困らせる立ち位置」を取ることから始まる――。
ゴールからの逆算、すなわち「良い立ち位置」を追い求め続けた監督時代の6年間を時系列で振り返りながら、いまだ仙台サポーターから絶大な支持を得る「知将」の戦術指導ノウハウをあますところなく公開する。

詳細はこちらから

【了】

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