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鎌田大地はなぜ「合わないチーム」で生き残れた?「守備ができない」と言われた孤高のMFの生存戦略

text by 編集部 photo by Zoom

鎌田大地
【写真:Zoom会見のスクリーンショット】

 日本代表は25日に予定されている国際親善試合の韓国代表戦に向けて合宿をおこなっている。23日にはドイツ1部のアイントラハト・フランクフルトでプレーするMF鎌田大地がオンライン取材に応じた。

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「フォーメーションも変わってチームとしてうまくいっている中、トップ下を2人置いてやる時は、1人で(トップ下を)やっていた時に比べて無駄に走ることも少なくなりましたし、相方(ドイツ代表のアミン・ユネス)が結構いいので、自分自身もいい持ち方ができたり、周りとの連係だったりが上がって、それが自分自身にも良い影響を与えてくれていると思います」

 今季の鎌田は好調なフランクフルトで不可欠な戦力となり、リーグ戦では4得点12アシストを記録している。最近は3-4-2-1の2シャドーの一角で躍動し、2月以降は出場6試合で2得点3アシストと勝利に直結するプレーが大きく増えていた。

 攻撃面だけでなく守備面での貢献度も高い。より総合力の高いプレーヤーへと進化している途中だ。

「守備の部分は中学生の頃からずっと『できない』と言われ続けていて、でも自分が世界で上にいくにあたって、大事なポイントだとわかっているし、フランクフルトがそういうのを大事にするチームなので、昨年からずっと改善しようとしてきた部分です」

 フランクフルトのアディ・ヒュッター監督はピッチに立つ全員に等しくハードワークを要求する。前線のポジション争いは特に激しく、もし1試合でも不甲斐ないパフォーマンスを見せようものなら、一瞬で定位置を失ってしまう可能性もあるほどだ。鎌田も「毎試合危機感を持ちながらやっている」と語る。

 だからこそゴールやアシストという数字を残すのみならず、攻守両面で常に存在感を発揮しなければならない。鎌田自身もハードワークの重要性を感じつつ、守備面での成長を実感しているところだ。

「昨季から走っている距離は90分出ればチームで一番くらいで、サボっているわけではなかったんですけど、いまはフォーメーションが変わって『10番』が2人になって、昨年は(相手の)ボランチを1人で見ていたのを(相方と)分担できていて、(昨季までは)無駄に走らされていたのが、(今季は)自分が狙ったタイミングでしっかり全力を出せるというか、無駄に走っている機会が少ない感じですかね。走っている距離は一緒でも、狙ってちゃんと(プレッシャーに)いけているシーンが多い感じです」

 ボールを扱う技術が高いだけで欧州サッカー界を生き残っていくことはできない。より高いレベルを目指すためには、自分の持ち味を発揮しつつ「要求に応えること」が重要だと鎌田は強調していた。

「僕の場合は結構(自分の)プレースタイルに合っていないチームでやってきました。サガン鳥栖だったり。フランクフルトもそういうところを求めるので、良い意味で自分のプレースタイルにプライドがないというか、人に合わせられるし。『自分がこうしたい』というよりも、チームに求められることにプラスアルファで自分の良さを出さないと試合に出られないんです。

鳥栖の時もフランクフルトでもそうです。自分がどういう選手になるべきかというのにプラス、チームに求められることを絶対的にできないと試合に使ってもらえない。監督の言っていることを理解して向き合っていくのは自分のためにもなるし、それができないと生き残っていけないし、それが大事なのかなと思います」

 森保一監督が率いる日本代表でも、鎌田自身の強みを発揮するとともに、指揮官の要求に応えたプレーで生き残りとさらなる成長を追い求めていくことになりそうだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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