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浅野拓磨、今季16得点と絶好調の要因は? 信頼つかんで急成長、「セルビアだから…」とは言わせない!

text by 編集部 photo by Zoom

浅野拓磨
【写真:Zoom会見のスクリーンショット】

 日本代表は25日に予定されている国際親善試合の韓国代表戦に向けて合宿をおこなっている。23日にはセルビア1部のパルチザンでプレーするFW浅野拓磨がオンライン取材に応じた。

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 今季欧州の1部リーグで最も多くのゴールを挙げている日本人FWは、おそらく浅野だろう。セルビア1部リーグではすでに16得点を挙げ、ラドニク・シュルドゥリツァのFWミラン・マカリッチ(17得点)に次ぐ得点ランキング2位につけている。

 浅野自身も好調を実感しており、「冬の中断が明けてなかなかコンディションが上がらないなと思いながらやっていましたけど、徐々にコンディションも上がってきて、試合にもフィットしてきている感じがするので、あとはそれが単純に結果に表れているのは僕にとってすごく大きなことです」と語る。

 2月上旬に後半戦が始まってから3試合連続でゴールなしという期間もあったが、その後は3試合連続得点も含む6試合で6得点と絶好調。順調にゴールを積み重ね、充実した日々を送っている。

 26歳になった浅野は「これまでもコンディションがいいな、調子がいいなと感じていても、それがなかなか結果に表れなかったことがあったので、僕にとってもすごくいいかなと思います」と述べたが、一方で「まだまだ結果も残せますし、けっして自分に満足している感じではない」と強調した。

 それでも成績は間違いなく過去最高だ。Jリーグ時代もリーグ戦で年間二桁得点を達成したことがなく、今季の16得点8アシストはキャリアハイのパフォーマンスと言って差し支えないだろう。では、一体何がこれだけの急激な成績向上をもたらしたのだろうか。

「セルビアでプレーしていて一番僕が感じるのは、常に試合に出続けられているのが僕にとってすごく大きなことなんです」

 浅野は欧州に渡ってからドイツのシュトゥットガルトやハノーファーでプレーしてきたが、そこでは常に出場機会を保障される立場ではなかった。むしろ定位置獲得に苦しんでいた時期が長く、試合に出続けることが最も大きな壁でもあった。

「これまで日本でもドイツでもそうでしたけど、なかなか結果が出なかった時に常に試合に出続けられる環境ではありませんでした。良くも悪くも監督だったりチームメイトからの信頼を感じながらプレーでき、良くなかった次の試合、修正できる試合が目の前にあるのは僕にとってすごく大きなことです。

それを繰り返すことによって、なかなか自分の中でうまくいかなかった試合があっても、次に引きずることなくプレーできたり、1試合1試合自分の中でしっかり完結して、次の試合に向けて全力でいい準備をすることが僕の中でルーティーンとしてできています」

 セルビアで周囲からの信頼を勝ち取り、「戦うための準備」を万全に整えられる状況が出来上がった。環境に言い訳せず、心身ともに良好な状態で集中して試合に臨めることが結果につながっていると、浅野は言う。

「どうしても結果が出ていても、周りからは『セルビアだから…』という見られ方は、多少あるだろうなと自分では感じていますけど、それでも昨季はそのセルビアでいい結果が残せたかというと、僕自身納得のいく結果は残せていなかった。そういった意味ではセルビアでチームメイトとの信頼関係を築き、コミュニケーションもそうですし、1シーズン通してチームに慣れて、ようやく2シーズン目で自分のやりたいプレーであったり、チーム全体を通してやりたいプレーが徐々に改善されてきたところが結果にも表れているのかなと思います」

 パルチザン加入1年目の昨季はリーグ戦23試合出場4得点4アシストという成績だった。2年目の今季は右ウィングに固定されて、現時点でリーグ戦27試合出場16得点8アシストと明らかに昨季以上の結果が出ている。

 試合に出続けることで自信を深め、自らの進む道に確信も得た浅野の表情は非常に明るかった。「久しぶりの日本での試合ですし、日本の地でプレーできることは僕たちにとってすごく特別なこと」と森保ジャパンの一員として戦う日韓戦に向けて、モチベーションも最高潮だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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