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上田綺世にはエースの自覚が「正直、特にない」 。言葉の真意とは…FWは「勝たせるための点を取るのが仕事」

text by 編集部 photo by Getty Images

上田綺世
【写真:Getty Images】


 東京五輪を控えるU-24日本代表は、31日から強化合宿を行う。今回の活動からオーバーエイジで招集されたDF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF遠藤航の3人が加わり、五輪本大会に向けた最後のサバイバルが繰り広げられる。

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 鹿島アントラーズに所属するFW上田綺世は、2020年1月以来となるU-24日本代表合宿への参加となる。昨年12月と今年3月の活動は負傷のため招集されていなかったが、このタイミングで声がかかったのは首脳陣からの信頼が厚い証拠だろう。

 上田は東京五輪世代のU-21日本代表が立ち上がった当初から継続的に招集されてきた。森保一監督とともに五輪を目指すなか、同世代で最も多くのゴールを奪ってきた選手でもある。大学生だった頃から東京五輪世代の代表チームで積み重ねてきたゴールの数は「15」にのぼり、国際大会の重要局面でもゴールネットを揺らしてきた。

 しかし、上田本人にエースの自覚は「正直、特にないですね」という。いったいなぜか。この言葉の背景には、「上田綺世」という選手がストライカーとして胸に抱き続けてきた明確な理念と矜持がある。

「何をもってエースというのかわからないですけど、僕はFWである以上は、その試合に勝つ、勝たせるための点を取るのが仕事だと思っています。通算で僕が一番多く取っているかもしれないですけど、(目の前の)その試合で点を取ることが重要で、僕がエースというよりFWがその仕事だと思っているので、FWである以上はその責任を持ってプレーしていきます」

 FWであるなら目の前の試合の勝利につながるゴールを決め続けることが責務であり、すなわち常にエースであり続ける責任もある。わざわざ自覚を持つまでもなく、チームを勝利に導く存在として当然のように「FW=エース」でなければいけない、という考え方だ。

 上田は「代表に呼ばれるということは国を背負うということなので、その覚悟をもって僕は戦っています」とも語る。

 東京五輪はキャリアの「分岐点」であり、「活躍すれば海外も見えてくるかもしれないですし、(本大会のメンバーに)選ばれなければ、またその次のキャリアに向けて頑張るだけ。五輪が1つの区切りになるんじゃないかと思います」と固い決意を原動力に、上田はラストサバイバルに臨む。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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