なぜ、J2が戦術的に面白いのか? リカルド・ロドリゲス監督が火付け役…「知略勝負」の舞台を分析【脱J2魔境マニュアル(1)】

2021年06月02日(Wed)8時10分配信

text by 龍岡歩 photo Getty Images
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禁断の「脱J2魔境マニュアル」と題し我が国が誇る2部リーグ・J2を特集した、6月7日発売『フットボール批評issue32』から、今や「知の戦場」ともいえるJ2の戦術的対立構造の最前線を追った龍岡歩氏の記事を一部抜粋して全3回で公開する。今回は第1回。(文:龍岡歩)

火付け役リカルドがケミカルを起こした

リカルド・ロドリゲス
【写真:Getty Images】



 日本サッカーにおいて最も戦術的な面白さに長けたカテゴリーはもしかするとJ2なのではないか。ここ数年、そんな声を一部のサッカーファンからも聞くようになった。

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 なぜ、J2が戦術的に面白いのか。それはリーグの特徴にある。個の力で試合の勝敗を左右するようなタレント抜きで戦略を考えなければならないという前提がそれだ。仮に傑出したタレントがいても、早晩、上のカテゴリーへ引き抜かれてしまうことが珍しくない。それが2部というカテゴリーの宿命でもある。

 その結果、個の質で差を生みにくいのであれば、知略でもって他を出し抜く必要性が生まれた。そしてこの土壌こそがJ2を知略と知略が凌ぎ合う、「知の戦場」へと生まれ変わらせた。そんな側面がある。

 サッカーの歴史を振り返ると戦術が進化する過程とは、異なる戦術と戦術がぶつかり合った時のケミカル(化学反応)の結果であることがよくわかる。つまり戦術的な対立軸が生まれた時に進化と面白さは急激に加速するのだ。

 その意味で、近年J2において生まれている戦術的な対立構造は大変興味深い。その大きな契機となったのは間違いなく2017年にスペイン流ポジショナルサッカーを引っさげて徳島ヴォルティス(当時J2)の監督に就任したリカルド・ロドリゲスの来日であろう。

 その詳細は後述するが、リカルドが火付け役となりJ2にはケミカルが生じたといえる。対抗する勢力もまた何か新しい対抗策を考えなくてはならなかったからである。J2はこの対抗勢力の健闘ぶりも特筆すべきリーグであり、それは毎年特定のチームの一人勝ちを許さない厳しいリーグ構造につながっている。シーズンの最後の最後まで予断を許さない昇格レースはJ2の知略ゲームが常に拮抗していることの証しでもあるだろう。

(文:龍岡歩)


『フットボール批評issue32』

≪書籍概要≫
定価:1760円(本体1600円+税)

禁断の「脱J2魔境マニュアル」

我が国が誇る2部リーグ・J2は、「魔境」の2文字で片付けられて久しい。この「魔境」には2つの意味が込められていると考える。一つは「抜け出したいけど、抜け出せない」、もう一つは「抜け出したいけど、抜け出したくない気持ちも、ほんのちょっぴりある」。クラブの苦痛とサポーターの得体のしれない快楽が渾然一体となっているあやふやさこそ、J2を「魔境」の2文字で濁さざるをえない根源ではないだろうか。

1999年に創設されたJ2は今年で22年目を迎える。そろそろ、メスを入れることさえ許さなかった「魔境」を脱するためのマニュアル作りに着工してもよさそうな頃合いだろう。ポジショナルプレーとストーミングのどちらがJ2で有効か、そもそもJ2の勝ち方、J2の残留におけるメソッドはできないものなのか。このように考えている時点で、すでに我々も「魔境」に入り込んでいるのかもしれないが……。

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【了】

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