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日本代表 3年前

U-24日本代表にメダルを狙う力は…? 一方、1人少ないメキシコに反撃を許した原因とは?【西部の目/東京五輪男子サッカー】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司

薄氷を踏む思いの勝利。繰り返された問題

 前半は五分五分だったボールポゼッションは、60分までにメキシコの60%になっていた。U-24日本代表はときおりカウンターを繰り出すものの、メキシコのハイプレスを外し切れていないことに変わりはなく劣勢になった。

 ただし、ボールホルダーへのプレスもなくずるずると下がる最悪の展開にはならず、ディエンスラインより前で寄せきって守備のスイッチを入れることはできていた。U-24日本代表のリズムとはいえないまでも、メキシコの攻撃は食い止めている。

 メキシコの左ウイング、アレクシス・ベガは酒井が完封。右のディエゴ・ライネスのドリブルは脅威だったが中山雄太が食らいつく。メキシコは66分に両ウイングを交代。ライネスがいなくなったのは助かったかもしれない。

 相馬に代わって左サイドに入った前田大然が再三好守備をみせる。67分には裏へ抜け出した堂安へのファウルで退場者を出したメキシコが10人になった。本来なら、ここでU-24日本代表は数的優位を生かしてボールをキープすべきだったが、中途半端に攻め込んではボールを失う。第1戦(南アフリカ)でもあった試合運びの問題が繰り返されていた。

 堂安→三笘薫、林→上田綺世の交代もこの点では裏目に出ていた。85分には左サイドからのFKがニアにいた三笘、上田を越え、GK谷晃生のブラインドとなってそのままゴールイン。10人のメキシコに1点差に詰められた。

 ロスタイムにはFKからのヘディングシュートを谷がぎりぎりのファインセーブ。最後は薄氷を踏む思いで逃げ切っている。

 効果的だったハイプレスは30分で終息。リトリートが中心になってからの守備も安定していたとはいえ、1人少ない相手に反撃を許したのは日本の試合運びのまずさに原因があった。

(文:西部謙司)

【了】

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