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日本代表 3年前

U-24日本代表、遠藤航が最高だった理由は? 頼もしさと自信、「試合のMVP」が意識していたのは…【コラム/東京五輪男子サッカー】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「試合のMVP」



 2018年のロシアワールドカップでベルギーに敗れた「ロストフの悲劇」に象徴される通り、日本は時間が経つにつれてアクチュアル・プレーイングタイムが減り、デュエル勝利数が一気に低下する傾向がある。彼はその課題をしっかりと頭に入れながら、逆に強度を上げ、デュエル勝率も引き上げるような意識で取り組んでいたのだろう。実際、フィジカル状態も目に見えて上がってきた。オフ明け直後の7月12日のU-24ホンジュラス代表戦では動きの重さが目立ち、普段は犯さないようなパスミスも少なくなかったが、「徐々にコンディションがよくなっている」と本人も自信をのぞかせている。

 2-1の勝利は遠藤の対人の強さと高度な戦術眼があってこそと言っても過言ではないだろう。この日はゴールには直接的に関与せず、ホアン・バスケスの退場シーンにもダイレクトに絡んではいないが、黒子の働きで攻守両面にスイッチを入れていた。ゆえに、テレビインタビューを担当した内田篤人は「試合のMVP」と賞賛したのだ。

 ただ、その遠藤とバスケスを退場に追い込む縦パスを供給した田中碧とともにイエローカードを1枚ずつもらっているのは、今後に向けての懸念材料と言える。今回のメンバーはDFや2列目に人数を割いているので、ボランチはこの2人に託される部分が大きい。当初、バックアップに位置付けられていた板倉滉も冨安健洋の負傷によってDFラインで2戦ともフル出場している。今後、冨安が戻ってくれば板倉をボランチに上げられるだろうが、板倉自身にも消耗はある。こうした現状を踏まえても、遠藤にはやはりフル稼働してもらうしかない。

 さしあたって28日・フランス戦だ。フランスが南アフリカに4-3で競り勝ったことで、この一戦の重要度が一気に高まった。グループリーグ突破を決めるうえで、U-24日本代表は負けられないが、先々も考えながら戦わないといけない。遠藤は球際や対人のバトルが多い分、リスクが高いものの、警告を受けない賢いプレーを普段以上に選択しなければいけない。そのうえで、強度を落とさず戦うことが肝要だ。

 53年ぶりの五輪メダル獲得の大願を成就させるためにも、ボランチの大黒柱のさらなる奮闘が強く求められる。

【了】

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