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なぜリバプールは10人のチェルシーを崩せなかったのか。「アドバンテージではない」とクロップ監督が言った理由は…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

クロップ監督は悲観せず



 また、今季が始まって3試合目だということも、クロップ監督が悲観していない要因のようだ。熱血漢の指揮官は「これが第3節だということを忘れないでほしい。相手はチェルシーなんだ。彼らは自信、クオリティ、その他全てにおいて満ち溢れている」と言う。序盤でチェルシーのような「自信」や「クオリティ」に「満ち溢れている」チームと戦うのは「簡単ではない」。シーズンが始まってしばらくすれば、まだまだチーム全体の調子が上がってくる。クロップ監督の意図するところは、こういったところだろうか。

 このチェルシー戦ではセットプレーから失点したとはいえ、アンカーのファビーニョを加えた後方のトライアングルは、ルカク、マウント、ハフェルツら敵の攻撃陣に自由を与えなかった。ファン・ダイクとマティプが戦列に復帰したことで、昨季に比べて守備は格段に安定している。CBの控えにはジョー・ゴメスと、RBライプツィヒから獲得したイブラヒマ・コナテがいる。守備陣に計算が立つことで、CB陣が崩壊した昨季のような“地獄”を見ることはなさそうだ。そのことも、このチェルシー戦のドローを悲観すべきではない要因となるかもしれない。

 しかし、プレミア優勝やCLでの上位進出を狙うのであれば、攻撃面のオプションの少なさを露呈したのも事実。「第3節」という現時点では悲観すべきではない要素かもしれないが、後半戦では攻撃陣の手薄な状態が試合結果に響いてくる可能性もある。

 このチェルシー戦でフィルミーノがハムストリングを痛めたように、FWの誰かが途中で負傷離脱することも考慮する必要はあるだろう。場合によっては冬の移籍市場で、昨季のジョタのようなインパクトを残すアタッカーの獲得が必要となるかもしれない。

(文:本田千尋)

【了】

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