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伊東純也のスーパーゴールは“幻”に。「しょうがない」ではもったいない圧巻の突破、その時何が見えていたのか?【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by JFA

伊東純也
【写真提供:JFA】



【日本 1-0 ベトナム カタールW杯アジア最終予選】

 カタールワールドカップのアジア最終予選が11日に行われ、日本代表はベトナム代表に1-0で勝利を収めた。

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 日本の1点リードで迎えた40分、再び試合が動きかけた。コーナーキックの守備の流れから左サイドにパスが出ると、前線に残っていたMF伊東純也が反応し、ドリブルで一気にゴール前まで運んでいく。そしてカットインし、右足を振り抜いた。

 豪快なシュートはゴールのニアサイドに突き刺さり、日本に追加点……かに思われた。だが、VARの介入によって並走してきていたMF田中碧が、伊東のシュートコースに入っていたことでオフサイドと判定されてしまいゴールは無効に。圧倒的な個人技によって生まれた得点は取り消されて幻になってしまった。

 森保一監督も「残念ながらVAR(の介入とオン・フィールド・レビュー)で得点を取り消されてしまいましたが、素晴らしい伊東のゴールで、2点目と認められていてもおかしくない場面だったと思います」と悔やんでいた。

 しかし、当の本人はゴール取り消しについて「まあ、しょうがないなと思いました」と述べ、以外にも淡々としている。

 そして、左サイドを突破したのは「いつもやっているサイドじゃないので、別に得意というわけじゃない」としながらも、「右利きなのでカットインしたらシュートを打ちやすいなとは思うので、それがうまくハマったかなと思います」と振り返った。

 では、理詰めで正解を見つけるよりも、その場の感覚で打開策を見出していくタイプの伊東の眼には、“幻のゴール”に至るまでの数秒間に何が映っていたのだろうか。

「ボールがこぼれてきたので、そこにいち早く反応して、サイドで1対1だったので仕掛けようと思って。最初はクロスを上げようと思ったんですけど、カットインして打てるなと思ったので、思いきって打ったら、いいコースにいきました」

 瞬時に反応して左サイドに飛び出し、相手の状況を見てドリブル突破を選択。そして、最後は自分の方が有利だと判断してラストパスではなくシュートを決断した。前日練習からのチーム合流でコンディション的には完璧な状態ではなかったかもしれないが、それでも個のクオリティで決定的な働きができることを伊東は改めて示した。

 序盤の17分には「とにかく相手の前に入って、速いボールがほしいと思ったら、ちょうど(南野)拓実からいいボールが来たので、あとは押し込むだけでした」と先制点も決めた。間違いなくベトナム戦勝利の立役者は、別格のパフォーマンスを見せた伊東だ。

 試合終盤に痛めた左ひざ周辺の状態は気がかりだが、16日のオマーン代表戦でもキーマンになるのは間違いない。エース格に成長を遂げた爆速ウィングには、日本代表をワールドカップへ導くより一層の活躍を期待したい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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