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「点が入る雰囲気が足りない」サッカー日本代表の得点力はグループ最低。響くセットプレーの破壊力不足【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by JFA

2021-11-11-japan_jfa
【写真提供:JFA】



【日本 1-0 ベトナム カタールW杯アジア最終予選】

 カタールワールドカップのアジア最終予選が11日に行われ、日本代表はベトナム代表に1-0で勝利を収めた。

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 ここまで5試合を終えて日本代表が決めたゴールは4つ。試合数よりも少なく、グループ内ではベトナム代表と並んで最少得点になっている。失点が3つと少ないことによって3勝2敗という結果に踏みとどまれているとも言えよう。

 しかし、今後の戦いでワールドカップ出場権をつかむには、より多くのゴールを決めていく必要がある。目の前の試合に勝っていくだけでなく、最終的に得失点差の勝負になる可能性も考えれば、得点力の向上は喫緊の課題だ。

 流れの中でゴールを奪えない要因について、MF守田英正は「一の矢しかない状況が続いていて、(攻撃が)単調になってしまったり。二の矢、三の矢がまだない」と分析する。10月のオーストラリア代表戦から採用されている新システム「4-3-3」ではビルドアップがスムーズになり、攻撃の形を作ることはできている。

 しかし、決定的なチャンスの数は少ない。そして、守田は「4-3-3とは関係ないですけど、セットプレーがたくさんあったにもかかわらず得点できない部分、惜しいシーンもなかったですし、もっと突き詰められるかなと思います」と指摘する。

 チャンスを作った後に付随するセットプレーは、流れに関係なく得点できるチャンス。どんな展開であれゴールが生まれる可能性のある重要な局面だ。ところが、これまでの戦いも、ベトナム戦でもセットプレーから明確な決定機はほとんど訪れなかった。

 キャプテンのDF吉田麻也は「いくつかデザインした形は持っていたんですけど、やっぱりうまくいかなかったのと、一番は点が入る雰囲気が足りないと思います」と嘆く。

「そこ(セットプレー)はちょっと改善しなきゃいけないなと、ずっと思ってるんですけど。まあ、ああいう1-0とかでリードしている時間が長いときに追加点が取れると楽になるなと思うので、何とかしないといけないと思います。今はどうするかを見い出せてない状況です」(吉田)

 選手たちが課題として認識していれば、当然のことながら森保一監督も同じ意識を共有している。試合後の取材対応の中で「セットプレーで得点を取れていないことは我々も認識して、準備しています。選手もキッカーや入り方も含めてどうやったらコーナーキックやフリーキックから得点を奪えるかいろいろな工夫をしながらやっているところです」と述べた。

 ベトナム戦ではコーナーキックだけでも13本あったものの、チャンスを得点に結びつけられなかった。チーム全体で練習する機会が前日の1時間しかなかったとはいえ、これだけの数のコーナーキックを蹴りながら無得点では、さらに難しい展開になりセットプレーの機会も少なくなる試合でゴールを生み出すのは難しい。

「高さと言っても、(ベトナム代表とは)すごく差があるわけではないですし、相手も必死に守備をしてくる中で得点を決めるのはそう簡単ではないですが、セットプレーから得点がない部分は、これからの課題としてチームとして取り組んでいきたいと思います」(森保監督)

 MF遠藤航もキャプテンや指揮官と同じく「1人ひとりの動きが本当にちゃんとハマらないと成功する確率は上がらないので、いろいろなことを試しながらやってはいるんですけど、今はシンプルに結果が出てないということですね」とセットプレーの課題を感じている。

「セットプレーのオプションは全員で練習する時はするので、攻守においてしっかり確認してはいるんですけど、オプションを持つのは大事だと思う。逆にもっとシンプルに上げてもいいのかなと思う時もあるし、そこは相手との駆け引きなので、試合で判断しないといけないと思います」(遠藤)

 ベトナム戦で主にセットプレーのキッカーを担ったのはMF田中碧だった。遠藤は「碧はいいボールを蹴ってると思いますよ」と擁護する。では何が問題か。

「僕はもうちょっと前に先に入っていれば、みたいなシーンがあったし、あとは中の問題だと思います。もちろんマンツーマンで(マークに)つかれているので、剥がすのはそんなに簡単ではないし、相手も必死にやっているので。もうちょっと外して前に行けるのかどうかみたいなところは中の問題だと思うし、碧のボールはそんない悪いとは思わないです」(遠藤)

 キッカーの蹴る球の質ではなく、ペナルティエリア内でどうフリーの選手を作って、向かってくるボールに合わせるか。遠藤は「ポイントでしっかり合わせられれば得点チャンスは生まれると思います」とも語る。

 十分な準備時間を取れるオマーン戦に向けて、セットプレーに関して何らかの改善策を見出せるだろうか。苦しい展開でセットプレーから先制点を取る、あるいは流れに関係なく追加点を奪えるオプションとして自信を持てるようになれば、チームとしてもっと余裕を持った戦いができるはず。

 相手がどう守ってくるか、どこに弱点があるのかを見極める事前のスカウティングとプランニングもカギになる。最終予選を通じた得点力不足解消のために、セットプレーの改善は急務だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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