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リバプール対アーセナルで分かれた日本人の明暗。南野拓実にゴール誕生の理由、冨安健洋の最低評価はなぜ?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

南野拓実にゴールが生まれた理由



 76分、ジョタに代わり南野拓実が投入された。今季開幕当初はプレミアリーグで出番を得ることができなかった南野だが、直近は負傷者の影響もあり、3試合連続で途中出場を果たしている。

 その投入からわずか40秒後、南野に今季プレミアリーグ初ゴールが生まれる。3点目同様にGKのアリソンからの疑似カウンターが発動。ジョーダン・ヘンダーソン、マネ、サラーと繋がり、ペナルティーエリア右でボールを受けたアレクサンダー=アーノルドが逆サイドの南野へグラウンダーのクロスを送り、これを押し込んだ。

 同じような形から2ゴールが生まれたことには理由がある。リバプールの縦に早い攻撃の精度が高いのはもちろん、アーセナルのカウンター時の守備に大きな問題があった。

 アーセナルはビハインドという状況もありブロックを敷かず、中盤より前とSBが前へ前へとプレスをハメに行っていた。もちろんこのプレスがハマれば一気に自分たちのチャンスが訪れるのだが、リバプールの選手はこれを剥がすのがとても上手い。

 GKのアリソン、CBのフィルジル・ファン・ダイク、ジョエル・マティプはパスの精度が高い上に視野も広いので簡単にアーセナルのプレスを回避することができた。

 アーセナルの問題はここからだ。プレスを回避され、縦に早いカウンターを受ける際に、アーセナルの守備陣はボールに対して真っ向から潰しにかかっており、後方のスペースを埋める意識がかなり低かった。リバプールのようなトップレベルの選手たちが集まるチーム相手にこの守備の形はかなりギャンブルであり、今回の失点は2つともカウンターの起点で潰すことができず、ゴール前で数的優位を作られて失点を喫してしまった。

 投入された直後にゴールを決めた南野も見事だった。すぐに試合へと適応し、取るべきポジションをとっていたからこそ生まれたゴールであり、日々の練習と準備が活かされていた。

 リバプールのユルゲン・クロップ監督も、「彼が(南野)ゴールを決めたことを、とてもうれしく思っている。今日のパフォーマンスはトレーニングがとても良く反映されている」と南野のパフォーマンスに満足している。

 試合はこのまま終了し、4-0でリバプールが勝利。5本のシュートに終わったアーセナルの約4倍となる19本のシュートを放つなど、圧倒的な強さを見せつけた。

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