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マンチェスター・ユナイテッドは何が変わった? キャリック暫定監督初陣で見せた改善の兆しとは…【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

マンUは何が変わったのか?



 ビジャレアルにボールを持たれている時、マンUは守備の陣形をコンパクトに保ち、簡単にブロックの間にボールを通されることはほとんどなかった。強度の高い守備ブロックの実現に続いて、クリスティアーノ・ロナウドをファーストDFとするプレスも連動して掛かるようになった。

 25分の場面のように、プレッシングの結果、中盤でボールを奪うことにも成功していた。ピッチ上でロナウドが味方に指示を出していたように、プレスの掛け方についてはまだ手探りのところもある。それでも、このようなスールシャール前監督が抱えていた守備面での“課題”の1つは改善されつつあるようだ。

 まだ新生マンUの守備ブロックには隙もある。59分の場面には、ダブルボランチのスコット・マクトミネイとフレッジの間に立ったモイ・ゴメスにパスを出され、そのままドリブルを許して決定機を招いている。また、奪った後の安定したボール・ポゼッションの実現と、遅攻からどのようにフィニッシュに持っていくのかといった前政権時からの“課題”は、依然として改善の余地がある。

 キャリック暫定監督が「ダビド(デ・へア)が1、2度セーブしてくれたおかげで試合を優位に進めることができた」と振り返ったように、このビジャレアル戦もスペイン人守護神の働きで助けられた場面があった。デ・ヘアのビッグセーブ数を減らしていくことも必要だろう。

 クラブOBの新指揮官が、78分のロナウドによる先制の場面を「フレッジが素晴らしい働きをしてくれて、我々が望んでいた高い位置でのボール奪取ができた」と振り返っている。ハイプレスから得点を奪うことに成功したということは、前政権時には見られなかった意図を持ったプレッシングが実現できた、ということでもある。

 この“意図的な守備戦術の現れ”こそは、やはり前政権時には放置され続けた課題の改善の“兆し”と言えるのではないか。

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