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レアル・マドリードの強さは都市伝説級。「ベルナベウの90分は長い」を証明、再び起こした奇跡【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

快速自慢VS快速自慢

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【写真:Getty Images】



 それがヴィニシウス・ジュニオール対カイル・ウォーカーだ。

 今季に入り覚醒し、ラ・リーガ優勝に大きく貢献したヴィニシウスは、ご存じの通り世界屈指のスピードを誇る選手。シティとの1stレグでは左サイドでフェルナンジーニョをぶち抜きそのまま単独でゴールネットを揺らすなど、改めてその脅威を世に証明していた。

 そんな得点シーンだが、もしウォーカーがいれば止められていたのではないか? と思ったシティサポーターは少なからずいたはずだ。改めて説明するまでもないが、イングランド代表DFも世界最高峰のスピードスターとして有名。確かにウォーカーならば、ヴィニシウスにあそこまでの単独突破は許さなかったかもしれない…いずれにしても、この快速自慢対決は実に興味深かった。

 そして迎えた2ndレグ。ウォーカーが負傷から回復し先発入りしたことで、ヴィニシウスとのマッチアップが実現した。

 この両者の対決は、戦前の期待を裏切らぬ実に見応えのあるものとなった。勝敗をつけるとすれば、ウォーカーが上回ったと言っていいだろう。

 37分、モドリッチからヴィニシウスに背後へのパスが出たが、ウォーカーがしっかりと並走し、最後は強靭なフィジカルでヴィニシウスを吹き飛ばした。ブラジル人FWも決して身体が弱いわけではないが、ベテランサイドバックの前ではやはり無力だった。

 そして圧巻だったのは40分の場面だ。フェルラン・メンディの縦パスを受けたヴィニシウスはスピードに乗りボックス内へ侵入したが、ここでもウォーカーがしっかりと並走。最後はPKのリスクを覚悟でスライディングタックルを見舞い、コーナーキックへと逃れた。これを見たルベン・ディアスがウォーカーの元へ駆け寄り力強いハグをしたことからも分かる通り、ウォーターにしかできないスーパープレーだった。

 上記のように、マドリーの崩しの核であるヴィニシウスは完全にウォーカーの後手に回っていた。マドリーが攻めながらも点を奪えなかった理由の1つは、このイングランド代表DFの存在にあると言ってもいいかもしれない。

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