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レアル・マドリードの強さは都市伝説級。「ベルナベウの90分は長い」を証明、再び起こした奇跡【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

もはや都市伝説級の強さ



 ただ、グアルディオラ監督の采配が大きなミスだったかと言えばそうではないだろう。選手交代は確かに結果として失敗に終わったが、疲労を考慮しガブリエル・ジェズスやケビン・デ・ブライネを早めに下げたのは理解できるし、マフレズを下げ、より守備的なフェルナンジーニョを入れて試合を締めにいく考えももちろん理解できる。シティの敗退はスペイン人指揮官の責任というよりは、素直にマドリーの方が強かったと捉えた方がいいだろう。

 それにしても、今季チャンピオンズリーグ(CL)におけるマドリーにはことごとく驚かされる。パリ・サンジェルマン(PSG)、チェルシー、そしてシティ相手にここまで劇的な勝利を収められるのは、恐らく世界でマドリーだけである。

 試合後、マドリーOBのミカエル・ラウドルップ氏はこんなコメントを残したようだ。

「信じられないことが今季は起きている。決勝トーナメント1回戦、準々決勝、準決勝と。とくにPSG戦とシティ戦では相手の方が良い内容ながら決勝に進んだのはマドリーだった。そういうことはラッキーで1度はあり得るが、3度は起こらない」

「ラッキーで1度はあり得るが、3度はあり得ない」。この言葉こそ、マドリーの恐ろしさを物語っている。正直なところ、決勝進出に相応しかったのはシティだ。アンチェロッティ監督の選手交代は結果として当たったが、相手を完全に上回るほど大きな手を打ったわけではない。それでも、最後に勝つのはマドリーなのだ。

 戦術等をいくら分析しても、実際のところ「なぜマドリーが勝利できたのか」という部分にたどり着くのは困難だろう。彼らの強さはもはや、誰も解明できない都市伝説級と言っていいはずだ。

 決勝戦では再びリバプールと対戦する。マドリーは今季4度目の「あり得ないこと」を起こし、再びビッグイヤーを手にするのか。

(文:小澤祐作)

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