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ポステコグルー監督はいかにセルティックを再建したのか? 古橋亨梧や前田大然、リーグ優勝につながった新戦力躍動の理由【分析コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「我々はチャンピオンになるに値する」

アンジェ・ポステコグルー
【写真:Getty Images】



 守備陣ではいずれも新加入のカーター=ヴィッカースとDFカールスターフェルトが不動のセンターバックコンビに成長し、ベテラン守護神ジョー・ハートも衰えないセービング能力でチームを支えた。彼らが中央に砦を築く守備陣は、圧倒的リーグ最少の37試合22失点。ハートはリーグ最多の18試合でクリーンシートを達成している。

 自らの哲学を浸透させるための補強が、昨季の強さを維持していたレンジャーズとの25ポイント差に追いつき、追い越してのリーグタイトル奪還に結びついた。序盤戦で試合をこなしながら戦い方を固め、充実した選手層をフルに活用して右肩上がりで頂点までたどり着いた。

 指揮官はリーグ戦31試合無敗という驚異的な力強さを見せたチームを改めて称える。

「私は選手やスタッフたちを本当に誇りに思っている。今季、彼らが取り組んできた戦い方は、本当にチャレンジングなものだった。31試合も負けず、我々が今日この場所にいるためには、シーズンを通して信じられないほど強くあり続けなければならなかった。我々はチャンピオンになるに値すると思う」

 ポステコグルー監督は戦術家としてだけでなく、選手の適性やポテンシャルを見抜くスカウティング力も備える一流のマネージャーであることをスコットランドで証明したのである。タイトル獲得を義務づけられたビッグクラブ特有のプレッシャーにも打ち克った。勝つために妥協を一切許さない指揮官の姿勢は、選手たちにもしっかりと浸透していただろう。チーム内の信頼関係の強さは、映像からもよく伝わってきていた。

「我々はシーズン開幕の頃の困難な状況も含め、降りかかってきた全ての障害を乗り越えた。それこそトップに立つに値する証だ。本当に強い信念があった。我々は特殊なスタイルでプレーするためのタスクを設定し、それを放棄することはなかった。そして、外部からの雑音に惑わされることを許さなかった。選手たちはチームが達成しようとしている目標を毎日本当に信じてきたからこそ、(優勝という)報いを受けることができたんだ」

 昨年夏に新監督としてエディ・ハウを推したセルティックの大株主も、リーグタイトルを取り戻しての国内二冠というポステコグルー監督就任1年目の成果には満足しているのではないだろうか(もちろん半年でニューカッスル・ユナイテッドを見事に立て直したエディ・ハウ監督の手腕も素晴らしいが)。

 セルティックは14日にリーグ最終節でホームに戻ってマザーウェルと対戦する。長かったシーズン最後の60試合目で、今季の集大成と言えるような溌剌としたパフォーマンスに期待したい。

(文:舩木渉)

【了】

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