フットボールチャンネル

サッカー日本代表、板倉滉は宣言通り。「いつも通り考えながら」ブラジル代表ネイマールを封じた予測と判断【キリンチャレンジカップ2022】

text by 編集部 photo by Getty Images

サッカー日本代表 最新ニュース

板倉滉
【写真:Getty Images】



サッカー日本代表を救った板倉滉のプレーとは?

【日本 0-1 ブラジル キリンチャレンジカップ2022】

 キリンチャレンジカップ2022が6日に行われ、サッカー日本代表はブラジル代表に0-1で敗れた。



【海外サッカーはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴】


 前後半合わせて18本ものシュートを浴びながら、流れの中からゴールを許さず、失点をPKでの1点に抑えられたのはディフェンス陣の奮闘あってこそ。とりわけセンターバックに入ったDF板倉滉のパフォーマンスが際立っていた。

 ゴール前で数々のシュートをはじき返したブロックの技術は、オランダやドイツでの経験によって身についたものだろう。29分、ブラジル代表MFカゼミーロのミドルシュートを体で弾き返す。他にもデータに残っているものだけで3回、ゴール前で日本をピンチから救った。

 日本代表を率いる森保一監督も「守備の部分でチームが崩れることなく戦えたのは、彼の貢献が大きかった」と板倉の働きぶりを称えた。

「1つの判断が遅れていれば、もっと失点していてもおかしくない中、彼は危険な場面を察知して相手の攻撃を未然に防ぐ、そしてゴール前で相手の決定的なチャンス、我々にとってのピンチを防いでくれていたと思います」

 圧巻だったのは64分の場面だ。ブラジルは後方からのロングパスで一気に展開を前に進めると、FWネイマールが胸でボールをコントロールしてペナルティエリア内で。しかし、そこに日本の背番号4が立ちはだかった。

 宙に浮いているボールの軌道を見て即座にヘディングにいかない判断を下した板倉は、そのままネイマールと併走していく。そして、細かいステップで歩幅を合わせ、完璧なタイミングでシュートコースに滑り込んだ。

 判断を1つでも間違えば大ピンチになりかねない状況でネイマールとの勝負を決断し、冷静に相手の間合いに入って、最後の最後で体を張る。こうした狭い局面での1対1は、かつての板倉が苦手としていたプレーだ。

 だが、彼は試合前から対人戦に自信を覗かせていた。ブラジル戦に向けたオンライン取材の中で「(ブラジル代表は)世界のトッププレーヤーが集まっているチーム。そういう相手に組織で戦うのはもちろんですけど、局面の1対1で球際に負けないことが大事になってくると思います」と予測していた板倉は、ネイマールらとの勝負を頭の中にはっきりと思い描いていた。

「まずは一発でいかれないことが大事。例えばポストプレーにしても、食いつきすぎると、その後が早かったりする。そこは(相手の動きを)見ながらやらないといけないかなと。もちろん(間合いを詰めに)行けるところは行かないといけないですけど、そこで変に食いつきすぎると、その次の精度が高いので、簡単に(パス)1本で(ディフェンスラインの)裏に行かれるシーンも出てくるし、そこは試合中にいつも通り考えながらやっていきたいと思います」

 ネイマールのシュートをブロックした64分の場面は、まさに「簡単に1本で裏に行かれるシーン」だった。「ペナルティエリアに入ってきたら仕掛けてくるし、仕掛けのクオリティもすごく高いので、簡単に足を出せなくなる。なるべくその前に決着つけたい」と語っていた通り、ブラジル代表の絶対的エースがボールをコントロールする前の予測と判断で「決着」をつけていた。

 他の場面では、ドリブルで仕掛けてくる相手選手に対してずるずると下がるのではなく思い切って間合いを詰め、隙を見せた瞬間に足を出してボールをかすめ取るスキルも見せた。数年前の板倉なら、相手との距離を空けず果敢に1対1の勝負を挑んでいくことをためらっていたかもしれない。

 守備だけでなく攻撃の最初の一歩としても、簡単にクリアせず近くの味方を使ってゲームを組み立てようとする姿勢を前面に押し出していた。オランダでセンターバックとしての評価を確立し、シャルケの主力として1年間かけて積み上げてきた経験は、確実に大きな成長へとつながっている。

 負傷から復帰途上のDF冨安健洋も、危機感を抱いているに違いない。板倉の台頭によって、カタールワールドカップに向けた日本代表のセンターバック争いは激しさを増していきそうだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

KANZENからのお知らせ

scroll top