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吉田麻也、W杯意識し「半歩の差を詰めなければ」。ブラジル代表監督はサッカー日本代表に「W杯レベル」と賛辞も【キリンチャレンジカップ2022】

text by 編集部 photo by Getty Images

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吉田麻也
【写真:Getty Images】



サッカー日本代表選手たちはブラジル代表から何を感じた?

【日本 0-1 ブラジル キリンチャレンジカップ2022】

 キリンチャレンジカップ2022が6日に行われ、サッカー日本代表はブラジル代表に0-1で敗れた。



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 過去10年の結果と見比べれば、善戦だ。日本代表はブラジル代表と直近10年間で4度対戦して全敗。その間に14点を奪われ、うち8点はFWネイマール1人によるものだった。故に1点しか与えなかった敗戦を日本サッカーの成長と読み解くこともできよう。

 ブラジル代表を率いるチッチ監督も、試合後の記者会見で「非常にハイレベルな戦いだったと思う。両チームとも非常に高いクオリティを示し、非常に競った内容だった。ワールドカップレベルの戦いだった」と日本代表の戦いぶりを称えた。

 2016年から“サッカー王国”ブラジルの代表チームで指揮を執っている名将は、「アジアサッカーに対する懐疑的な意見は完全に無視していい。そういう批判をする人は、今のアジアサッカーのクオリティや競争力の高さを全く理解していないからだ」とも語る。

 同席したセザール・サンパイオコーチも「今回このアジア遠征で行った試合(日本戦と韓国戦)はいいテストだった」と、チッチ監督の見解に賛同していた。

 しかし、日本代表選手たちはスコア以上の実力差を感じていた。キャプテンのDF吉田麻也は「相手のプレスをかいくぐれた部分ももちろんありました。けど、本番ではこんなものじゃないというのが正直なところ」と唇を噛む。ここで言う「本番」とは、今年11月に控えるカタールワールドカップのことだ。

 吉田は日本代表やプレミアリーグでの経験を通し、多くのブラジル代表選手たちと直接対戦してきた。ネイマールはもちろん、FWリシャルリソンやFWガブリエウ・ジェズスら一流のアタッカーたちが普段からどれほど高いクオリティを発揮しているのかを肌で感じている。

 だからこそ国立競技場で行われた親善試合では「本来のクオリティじゃない感じがする」という印象を抱いた。吉田は「これに満足せず、もっともっと一歩、半歩の差を詰めていかなければ」と気を引き締める。

 日本代表はカタールワールドカップのグループステージでドイツ代表やスペイン代表と対峙する。ワールドカップ優勝経験を持つ強豪国を打ち倒さなければ、ベスト8進出という目標を達成することはおろか、決勝トーナメントにすら進めない。

 ブラジル代表と同格かそれ以上のポテンシャルを秘めたチームと真正面から本気でぶつかり合った時に、勝つか負けるかの戦いができるのか。6日の試合の0-1という結果や内容では、自信をつかむことができなかった。

「0-1という結果に慢心することなく、もっともっと突き詰めて、ここから精度も強度も上げていかなければと思っています。これが(ワールドカップの)本戦だったら0-0で終えなければならない試合だし、メンバーが代わったタイミングで失点して、0-1になったときにこれを1-1に戻して、何とか(勝ち点を)もぎ取るサッカーが本戦では必要になってくる」(吉田)

 後半途中からピッチに立ったMF三笘薫も、ブラジルとの如実な差を痛感した1人。レアル・マドリーでも活躍するDFエデル・ミリトンと堂々の勝負を繰り広げ、ドリブル突破で存在感を発揮したが、「強さを肌で感じることができたのでよかったですけど、まだまだ差が大きいというのはより感じられたので、もっとレベルアップしないといけないというのが(ワールドカップ)本大会までの課題」と危機感を強めている。

「(ブラジル代表は)誰が出ても同じようなレベルを出してくるし、いろいろな選手がアイデアを持って崩してくるので、1人ひとりに崩す能力の高さがありました。全員攻撃ができて、全員守備もできて、ドリブルもパスもできて、平均値がとてつもなく高いので、そこは(自分も)上げていかないと。1試合は勝てたり、引き分けたりするかもしれないですけど、(ブラジル代表とは)圧倒的な差はあると思うので、(勝つ)確率をもっともっと高めるためにやっていかないといけないと思います」(三笘)

 一方、手応えもあった。中盤アンカーとして奮闘したMF遠藤航は「1対1のところは日本代表としても強豪国相手に対して個人的にはやれると思っていますし、今日も相手が嫌がっていたと思う」と語る。

 そして「(1対1の)しつこさみたいなところは日本人らしさだと思うし、個人的にもブンデスリーガでずっと1対1はこだわってきている中で、良さは少しずつ出せたのかなと。そこはワールドカップに向けてすごく重要な部分であるのは間違いないですね」と続けた。

 フルパワーでぶつかっていって力の差を見せつけられたことにより、三笘や吉田、遠藤以外の日本代表選手たちにもかつてない危機感や成長の意欲が芽生えているに違いない。もちろん課題も明確になっただろう。

 カタールワールドカップ本大会までの5ヶ月で簡単に埋められる差ではないが、少しでもブラジル代表との距離を詰めることがベスト8進出という目標達成につながる。まずは6月シリーズの残り2試合でブラジル戦からどのような改善を見せてくれるか楽しみにしたい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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